文部科学省 研究推進局 ライフサイエンス課

青木 沙也

2015年
生命理学科卒業
2017年
生命理学専攻博士前期課程修了

高校時代に生物の遺伝のしくみに魅せられ、基礎研究の世界に触れられる理学部へ進学。修士課程を修了後、自分も基礎研究を支える仕事に携わろうと文部科学省のキャリア職員となった。現在はライフサイエンス課で、医療関係基礎研究予算のとりまとめや、重点研究領域の選定などに忙しい日々を送っている。

遺伝のしくみの美しさに惹かれた

高校では生物選択でしたが、時々苦手な人もいる遺伝の授業が、自分自身も含めた生物の原理を知ることができて、私にはとても面白いと感じました。また、その頃読んだ本で、遺伝子発現のONとOFFが様々な生命現象の根源にあることを知り、環境や成長段階による遺伝子の様々な調節のしくみについてもっと深く知りたいと思うようになりました。高校の授業の一環で研究者の方に直接インタビューさせてもらった時に、教科書の先にある生命科学の面白さにとても感銘を受けたこともあって、その最先端に触れたいと思い名古屋大学理学部へ入学しました。

ライフサイエンスをいろいろな視点から学べた生命理学科

最初から生命理学科志望だったので、分属での迷いはありませんでした。生命理学科では、生命科学全体を俯瞰するような講義もあれば、英語論文を読んで研究者と同じ目線でひとつの現象を追求するプロセスを学ぶ授業もありました。入学した頃は、研究者になるのもいいなと思っていた私ですが、様々な知識や考え方を学ぶうちに、ひとつのことを深く追求するよりも、広く生命科学全体を見渡す方に自分の興味が向いていることに気がつきました。

研究室配属では植物系のラボを選びました。授業で緑の革命の話を聞いて、社会にも貢献する植物基礎研究に魅力を感じたからです。修士課程まで在籍しましたが、日長の変化を植物の気孔が覚えているという仮説を検証する研究に携わりました。長日条件の方が成長に有利なため、気孔をより開いて光合成を活性化するしくみがあることが、遺伝子レベルで明らかになりました。次世代シーケンサーが出始めの頃で、どんどん新しいデータが出たので楽しかった思い出があります。

基礎研究を支えるキャリア官僚を目指す

M1の頃に、学内で開催された公務員試験セミナーで、文部科学省の事務官に理系採用があることを知りました。基礎研究の支援に携われるのなら、文科省を目指すのもいいなと思い、公務員試験を受ける決意をしました。大学生協の公務員試験合格対策講座を受講しつつ、専門科目の農業科学は自分で本を買って勉強しました。M1の夏から勉強して、M2の5月から筆記試験等、8月に官庁訪問で文科省・農水省・特許庁に行き、第一希望の文科省から内定をもらいました。

 

多忙だがやりがいのある仕事

念願の文科省に入って、最初は原子力課に配属されました。まったく知らない分野な上に、高速増殖原型炉もんじゅの廃炉の対応で、1年間地元調整や国会対応に奔走しました。 2年目は、大臣官房政策課で震災復興のとりまとめ等を行ない、3年目は内閣府に出向し、科学技術基本法等の改正に関わりました。5名くらいのチームで法律改正業務をしており、国会審議時は情勢の影響も受け、成立がギリギリになったのでひやひやする時期もありましたが、成立した時はとても達成感がありました。4年目からは、予算要求や予算執行の取りまとめを行っている大臣官房会計課に移り、そして6年目にライフサイエンス課に配属になりました。

ライフサイエンス課での業務内容は多岐にわたるのですが、日本医療研究開発機構(AMED)予算の取りまとめや、科学技術振興機構(JST)やAMEDに対してチーム型研究予算であるCREST等の重点研究分野を提案する仕事も行っています。提案は省内各部署からのコンペ形式なので勝ち残るのが大変ですが、生命理学科の教員のみなさんにも大きな関わりがあるので、とてもやりがいを感じる仕事です。忙しい時期も多いですが、この仕事に就いていなかったら学ばなかった分野も多く、人事異動の度に担当する分野が変わって新しい知識が増えていくことが面白いです。今後も、日々学びながら続けていければと思います。


取材・構成・撮影/松林 嘉克