研究成果

松井彩研究員・松林嘉克教授らの研究成果がNature Communications誌に掲載されました

松井 彩 研究員と松林 嘉克 教授らの研究グループは、ITbM分子構造センターおよび遺伝子実験施設との共同研究で、細菌のべん毛を構成する主要タンパク質であるフラジェリンから植物免疫を誘導するペプチド断片を切り出すタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)を発見しました。植物は、フラジェリンをプロテアーゼによって断片化し、生じた特定のペプチド断片を、細菌の存在を示すシグナル分子として認識して免疫反応を開始します。しかし、フラジェリンを断片化し、免疫誘導ペプチドを切り出す植物の酵素はこれまで分かっていませんでした。本研究では、フラジェリンが植物の酵素によってどのように断片化されるかを明らかにし、さらに、植物のプロテアーゼSBT5.2とSBT1.7が、フラジェリンを断片化して免疫誘導ペプチドを切り出すことを発見しました。これらの結果は、植物が病原細菌を認識するしくみを理解する上での重要な手掛かりとなり、病気に強い植物の作出などの農業的応用につながることも期待されます。本研究成果は、2024年5月4日付の英国科学誌Nature Communicationsに掲載されました。