研究成果
松井彩研究員・松林嘉克教授らの研究成果がNature Communications誌に掲載されました
松井 彩 研究員と松林 嘉克 教授らの研究グループは、ITbM分子構造センターおよび遺伝子実験施設との共同研究で、細菌のべん毛を構成する主要タンパク質であるフラジェリンから植物免疫を誘導するペプチド断片を切り出すタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)を発見しました。植物は、細菌のべん毛を構成する主要タンパク質であるフラジェリンをプロテアーゼによって断片化し、生じたペプチド断片flg22を、細菌の存在を示すシグナル分子として認識して防御・免疫応答を開始します。しかし、フラジェリンを断片化し、防御応答誘導ペプチドflg22を切り出す植物の酵素はこれまで分かっていませんでした。本研究では、フラジェリンが植物の酵素によってどのように断片化されるかを解析し、さらに植物のプロテアーゼSBT5.2とSBT1.7が、フラジェリンを断片化してflg22ペプチドを切り出すことを見出しました。SBT5.2とSBT1.7を欠損させた植物では、flg22を切り出す効率が著しく低下し、防御応答の遅れが観察されました。これらの成果は、植物が病原細菌を認識するしくみを理解する上での重要な手掛かりとなり、病気に強い植物の作出などの農業的応用にもつながります。本研究成果は、2024年5月4日付の英国科学誌Nature Communicationsに掲載されました。