研究成果

博士課程学生の廣岡依里さん・大澤志津江教授らの研究成果がCurrent Biology誌に掲載されました

大澤 志津江 教授と廣岡 依里 博士課程学生らの研究グループは、マクロファージが貪食を介してがんの成長を促進するという、これまで知られていなかった新しい仕組みを、ショウジョウバエを用いて発見しました。
がんの周囲に形成される「がん微小環境」にはさまざまな免疫細胞が集まり、なかでもマクロファージは、がん成長に重要な役割を果たすことが近年明らかになってきています。しかし、がん細胞がどのようにマクロファージに働きかけて、がん成長を助けさせているのかは、これまでほとんど分かっていませんでした。本研究では、ショウジョウバエの悪性腫瘍モデルを用いて解析を行い、がんが成長する過程で生じる死んだがん細胞をマクロファージが貪食し、その結果、貪食したマクロファージが炎症性サイトカインを放出して、がんの成長を促進することを明らかにしました。本研究成果は、がん細胞と免疫細胞の複雑な相互作用に新たな視点を与えるとともに、将来的にはがんのリスク予測や早期診断、予防的介入に資する治療標的の開発にもつながることが期待されます。この研究成果は、2025年6月26日付の米国科学誌Current Biologyに掲載されました。