研究成果
岩見真吾教授らの研究成果がScience Translational Medicine誌に掲載されました
岩見 真吾 教授らの研究グループは、オランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)、愛媛大学、米国陸軍感染症医学研究所(USAMRIID)など国際研究機関と連携し、エムポックス(クレードI)感染者における皮膚病変の進行過程を数理的に解析する研究成果を発表しました。
本研究では、2007〜2011年にコンゴ民主共和国で集積されたエムポックス(クレードIa)感染者の臨床観察データをもとに、皮膚病変の出現数や治癒までの期間から、患者を2つのグループに層別化できることを数理モデルにより明らかにしました。さらに、発症時の血中ウイルス量と病変の治癒までの時間との関連を解析した結果、初期のウイルス量が病状進行の予測指標となり得ることが判明しました。
2024年8月14日、世界保健機関(WHO)は、より重症化リスクが高いとされるクレードI(IaおよびIb)の感染者がコンゴ民主共和国を中心に増加している現状を受け、2度目の「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」を宣言しました。このような局面において、本研究が示した病変進行の予測モデルは、現在流行しているクレードIbにも応用可能であり、早期治療介入や公衆衛生戦略の立案に貢献することが期待されます。
本研究成果は、2025年7月3日付(日本時間午前3時)で米国の科学誌Science Translational Medicineに掲載されました。