研究成果
博士課程学生の羽鳥聖七さん・山口翔研究員・乘本裕明教授らの研究成果がPNAS誌に掲載されました
乘本 裕明 教授、羽鳥 聖七 博士後期課程学生、山口 翔 研究員らの研究グループは、順天堂大学医学研究科との共同研究で、必要な睡眠が脳内で補償される仕組みを新たに発見しました。私たちヒトは、睡眠が不足すると、大脳皮質の脳波が増強される「リバウンド」という現象が見られます。本研究では、睡眠や覚醒がDVRという脳部位の神経活動によって判定される爬虫類「オーストラリアドラゴン」を用い、7時間睡眠をはく奪する実験を行いました。その結果、DVRにおいても脳波のリバウンドが確認されました。さらに、通常時のドラゴンの睡眠脳波が大脳皮質に依存しないことを利用し、大脳皮質がリバウンドに寄与しているかどうかを調査しました。大脳皮質を外科的に切除したドラゴンの睡眠をはく奪したところ、DVRにおける脳波のリバウンドが見られなくなることを発見しました。これにより、「眠気」が大脳皮質に蓄積し、DVRの活動に影響を与えることでリバウンドが生じることが示唆されました。本研究は、今後眠気の実体に迫る上で重要な知見となることが期待されます。本研究成果は、2025年4月18日付の米国学術誌PNASに掲載されました。