研究成果

田中良弥助教らの研究成果がCommunications Biology誌に掲載されました

田中 良弥 助教らの共同研究グループは、アリの巣の中で暮らすアリヅカコオロギの一種が、アリの巣という特異な環境に適した逃避戦略を持つことを発見しました。アリの巣には、好蟻性生物と呼ばれる多様な生き物が暮らしていますが、多数のアリがいる巣内でどのように攻撃を避けて生活しているかは詳しく分かっていませんでした。アリヅカコオロギのアリに対する逃避行動を調べた結果、このコオロギは比較的ゆっくりとしたスピードでアリの背後に回り込む戦略と、高速で直線的に移動する戦略の2つの逃避行動を持つことが分かりました。興味深いことに、宿主のアリに対して、コオロギは背後に回り込む戦略を優先的に使うことが分かりました。また、行動シミュレーションから、背後に回り込む戦略は無数のアリがいる中で効率よく食糧を探索するのに有効であることが示唆されました。以上から、このアリヅカコオロギはこれら2つの逃避戦略を状況に応じてうまく使い分けることで、アリの巣内での生活を可能にしていると考えられます。本研究成果は、2024年12月31日付の国際学術誌Communications Biologyに掲載されました。