研究成果

修士課程学生の伊藤文さん・岡田泰和教授らの研究成果がEcology誌に掲載されました

修士課程学生の 伊藤 文 さんと 岡田 泰和 教授らの研究グループは、オタマジャクシの姿でいる間はフンをしないカエルがいることを新たに発見しました。石垣島や西表島、台湾に生息するアイフィンガーガエルの幼生(オタマジャクシ)は、天敵の少ない、木の洞や竹の切り株などの樹上の小さな水場で育ちますが、小さな水場で生育するアイフィンガーガエルは、排出した有毒なアンモニアを十分な水で希釈できず、幼生の生存率が低下する可能性があります。研究グループは、アイフィンガーガエルが他種に比べてアンモニアの排出量が非常に少ない一方で、腸内には高濃度のアンモニアを保持していることを明らかにしました。さらに、本種は他種に比べてアンモニアへの高い耐性も持っていることが分かりました。これらの結果から、アイフィンガーガエルは小さな水場という特殊な環境において、「アンモニアの排出量を抑える」、「アンモニアへの耐性を高める」という二つの戦略で適応し、生存率を上昇させていると考えられます。このような特殊な適応戦略はカエルでは初めて確認されたものであり、本研究の成果から、地球上のあらゆる環境に生息している生物たちが、どのようにしてこの多様な環境に適応しているのか、そのメカニズムの一端を明らかにすることが期待されます。本研究成果は、2024年9月22日付の米国生態学専門誌Ecologyに掲載されました。