研究成果
Matthew Su特任助教・上川内あづさ教授らの研究成果がiScience誌に掲載されました
上川内 あづさ 教授と Matthew Su 特任助教らの研究グループは、一般に“ヤブ蚊”とも呼ばれるネッタイシマカやヒトスジシマカの交配に重要な、オス蚊の聴覚の特性やメス羽音への応答行動が、これらの近縁種間で分化していることを新たに発見しました。日本の在来種のヒトスジシマカは生息域を年々広げており、ネッタイシマカの生息地にも分布するようになっています。このように近縁種が同じ地域に生息する場合、異種間の交配を避けるしくみが存在すると予想されますが、ネッタイシマカとヒトスジシマカにおける、同種の配偶相手を選択的に選ぶ機構は未解明でした。本研究ではその一端を担う可能性がある機構として、蚊の聴覚に着目しました。蚊は昆虫の中で最大の聴感覚器を持ち、卓越した聴覚を駆使してオスがメスを見つけます。研究グループは、ヒトスジシマカとネッタイシマカのメスの羽音には差があり、オス側の聴覚特性や音に応じた配偶行動もその差を反映した種間差を持つことを発見しました。この聴覚システムの種間差の知見を活かすことで、特定の種類の蚊だけを標的とした、高い精度での蚊の繁殖制御戦略の策定につながると期待できます。本研究成果は、2024年6月14日付の国際科学誌iScienceに掲載されました。