論文紹介

研究代表者

関 原明

所 属 理化学研究所 植物科学研究センター 植物ゲノム発現研究チーム
著 者 Jong-Myong Kim, Takaho A. Endo, Junko Ishida, Tetsuro Toyoda and Motoaki Seki
(金 鍾明、遠藤高帆、石田順子、豊田哲郎、関 原明)
論文題目 Epigenomic analysis using high-throughput DNA sequencers in Arabidopsis
(高速シーケンサーを用いたシロイヌナズナにおけるエピゲノム解析の実際)
発表誌

「植物の生長調節」Vol. 46, No2 技術ノート (in press)

要 旨    高速シーケンサー技術の発達により、植物研究は新しい広がりを見せている。 特にエピジェネティクス分野における植物ゲノム解析の成果は、 真核生物での普遍的なゲノム機能の解明にも繋がっており、大きな注目分野の一つと言える。 本総説では、エピジェネティックなゲノム制御因子であるヒストン修飾の検出を題材に、 エピゲノム解析を目的とした高速シーケンサーの利用とデータ解析の実際について述べている。ゲノム上のヒストン修飾の検出・解析は、ChIP-seq法 (クロマチン免疫沈降法 - 高速シーケンサー)を用いることで、 初発DNA量が比較的少量で済み、簡便かつ確実に解像度の高い多量のデータを回収できるようになった。 しかし、 実際にこの方法を使用し、 正確なデータを得るためには、サンプル調製およびデータ解析等の過程でクリアしなければならない問題が非常に多い。 本稿では著者らにより確立された、 シロイヌナズナを用いた正確性と再現性の高いChIP法とChIP-seq法、 および情報解析方法について、またそれら問題点とトラブルシューティングについて詳細に解説している。 高速シーケンサー技術は、植物のエピゲノム解析のみならず、ゲノムワイドな転写因子の結合部位同定など、 幅広い応用が可能であり、今後の植物研究への貢献が期待できる。
研究室HP http://labs.psc.riken.jp/pgnrt/