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領域代表者の挨拶

駒嶺 穆先生がご逝去されました

 【領域代表】
  町田 泰則
 名古屋大学・大学院理学研究科
  ・特任教授、名誉教授
   本「特定領域研究」の研究助言・評価委員でいらっしゃいました駒嶺穆先生が、7月6日(水)にご逝去されました。先生は、終始一貫して我々の領域研究を支援して下さいました。先生は、時には一対一できめ細かくご指導して下さることもありました。思い起こせば、建部到先生に引き続き、「重点領域研究」の代表を勤められ、その後も一貫して植物関係の大型研究予算の獲得とそれによる植物研究の推進にご尽力下さいました。とりわけ、15年以上続いてきた植物生理生化学・発生生物学分野の重点領域研究・特定領域研究では、常に、「研究評価委員」として参加して下さり、我々を鼓舞して下さいました。今日の我々の「特定領域研究」があるのも、先生の長年の御尽力のおかげといっても過言ではありません。ここに、生前の駒嶺先生のご厚情に深く感謝すると同時に、先生のご逝去に、謹んで哀悼の意を捧げます。
(2011年11月1日)

最終ラウンドを向かえるにあたって

  3月11日、東日本大震災が起こり、数多くの人々が被災されました。また、東北・関東地方の私たちの研究班員や近い研究分野の仲間も、大きな被害に遭いました。ここに心からお見舞い申し上げます。震災から3ヶ月近くになりますが、未だ復旧にはほど遠い状況が続く中で、私たちは領域研究の最終ラウンドを向かえることになりました。
 私たちの特定領域研究「植物メリステム」は、平成19年度に発足し、今年度で5年目に入りました。この領域研究では、植物の発生の仕組みを解明することを目指しています。特に、この分野での最先端の知見を得ることを目的としています。この 4年間を振り返ってみますと、新奇な生理活性ペプチドの研究、エピジェネティクな遺伝子発現制御の研究、フロリゲンの輸送の仕組みに関する研究分野などで、大きな成果が上げられてきました。さらに、まだ論文出版にまでは至っていませんが、世界のフロントに位置している研究成果も多数続いています。このような状況の中で、昨年9月に「中間ヒアリング」を受け、引き続いて年度末の 3月9日には、最終の2年間に向けての研究計画が審査を受けました。「中間ヒアリング」では、皆様のご努力のおかげで、A評価を受けることができました。今後の研究計画に関しては、引き続き発展させるようにとの評価でした。一方、この間、新規に大型研究予算が動いた結果、班員組織には若干の変化がありました。特に公募班員は約10名が入れ代わり、若手研究者が増え、メンバーが一新された感もあります。これから2年間、当初目標の達成に向けて、素晴らしい研究成果が得られることを願い、ここに、皆様の研究の一層のご発展を祈念いたします。
 なお、最後になりましたが、班員の中には、大きな災害に遭われ、研究の中断を余儀なくされた方々もいらっしゃいます。これらの研究室の復旧に向けて、本研究班としても、可能なかぎりの協力と援助を行っていく所存です。皆様からのお力を頂きながら、この困難を乗り越えて行きたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
(2011年5月23日)

本特定領域研究を始めるにあたって

  私たちが提案してきた表記のような課題が、平成19年度発足の「特定領域研究」として採択され、スタートすることになりました。この「領域研究」では、植物の発生を二つの観点から研究します。一つは、茎頂や根端のメリステムからの器官発生という観点です。具体的には、葉、茎、根、花などの器官がメリステムから発生分化する仕組みを研究します。もう一つは、メリステムの性質が、植物の成長過程で変換(相転換)するという観点です。例えば、フロリゲンなどによる花成の仕組みを分子レベルで研究します。さらに、メリステム形成の仕組みそのものの研究も行います。
このような研究が、何故「特定領域研究」にふさわしいかということですが、以下のような植物発生の研究における三つの進展をあげることができると思います。一つは、この数年の間にフロリゲンの遺伝子が、我が国の荒木と島本らにより発見され、この研究分野を我が国がリードするようになってきたことです。二つ目は、植物の発生に関わる新奇な分子、例えば、低分子ペプチドや低分子 RNA、さらに染色体制御因子などの多様な分子が、日本の研究者により見いだされてきたことです。さらに、三つ目は、植物の細胞分裂の研究においても、我が国の研究者は大きな貢献をしています。このような流れが、今回の特定領域研究発足の力となり、次の飛躍への期待が高まっています。以上のような背景を踏まえ、私たちは、植物の発生を支える新たな制御系、しかもより高次な制御系(統御系と呼びます)を解明したいと考えています。
計画研究班には、上記のような先駆的な研究を進めている研究者が多数参加しています。さらに、来年度からは、志を同じくし、しかも、より高い目標を見すえ、ユニークな研究をめざしている多くの方々を公募研究班員として採用したいと思っています。また、本特定領域研究では、班員間の効果的な共同研究を推進し、高いレベルの成果を実現すること、若手の研究を積極的にサポートして、この分野の将来を切り開くことをめざします。総括班では、これらの点に気を遣いながら、「領域研究」全体を運営していきたいと思います。
これから6年間、皆様とともに新発見による喜びを共有できるようになったことを、何よりも感謝致します。素晴らしい「特定領域研究」になることを祈ります。
(2007年8月22日)
                                                             特定領域研究「植物メリステム」
                                                                  領域代表 町田 泰則