論文紹介
研究代表者 |
松下 智直
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所 属 |
九州大学農学研究院 |
著 者 |
Oka, Y., Kong, S.-G., and Matsushita,
T.
(岡義人、孔三根、松下智直) |
論文題目 |
A Non-Covalently Attached Chromophore
can Mediate Phytochrome B Signaling in Arabidopsis
(シロイヌナズナにおいてフィトクロムBは非共有結合により取り込んだ発色団を用いてシグナルを伝達しうる) |
発表誌 |
Plant Cell Physiol. in press (2011)
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要 旨 |
植物は、周辺環境を把握するための情報源として光を利用し、適応を図っている。その「情報としての光」を捉えるために、植物は進化の過程でいくつかの光受容体を獲得してきたが、フィトクロムはその中でも最も主要な働きを担う赤色光/遠赤色光受容体である。フィトクロム分子は水溶性色素蛋白質であり、特定のシステイン残基において、開環テトラピロールであるフィトクロモビリンを発色団として共有結合している。フィトクロムはこの色素分子の働きにより光を捉え、蛋白質部分の立体構造を変化させ、その結果転写因子などと結合することで、光シグナルを伝達している。フィトクロムの発色団結合部位であるシステイン残基を他のアミノ酸に置換すると、フィトクロムの生理活性が完全に失われることから、これまで発色団との共有結合がフィトクロムの働きに不可欠であると考えられてきた。本研究において我々は、シロイヌナズナのフィトクロムBが、共有結合を介さずに発色団を取り込みうること、そして非共有結合により取り込んだ発色団を用いてシグナルを伝達しうることを示す。また本研究の結果から、フィトクロムBのシグナル伝達に発色団が必要であることが改めて確認されると共に、活性型フィトクロムのシグナル伝達表面の形成に発色団が直接関わる可能性が示唆された。
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研究室HP |
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