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  • 論文紹介【第6回論文紹介】
  • シロイヌナズナのキネシン様タンパク質HINKEL、ANP MAPキナーゼキナーゼキナーゼ、MKK6 MAPキナーゼキナーゼは
    単一の経路を構成して細胞質分裂を制御すると同時に、MKK6はMPK4をリン酸化し活性化する

論文紹介

研究代表者 町田泰則 所 属 名古屋大学大学院理学研究科
著 者 Takahiro Yamaguchi, Michiko Sasabe, Yasunori Machida
(高橋裕治、征矢野敬、幸節健、笹部美知子、町田泰則)
論文題目 HINKEL Kinesin, ANP MAPKKKs and MKK6/ANQ MAPKK, which phosphorylates and activates MPK4 MAPK, constitute a pathway that is required for cytokinesis in Arabidopsis thaliana
(シロイヌナズナのキネシン様タンパク質HINKEL、ANP MAPキナーゼキナーゼキナーゼ、MKK6 MAPキナーゼキナーゼは単一の経路を構成して細胞質分裂を制御すると同時に、MKK6はMPK4をリン酸化し活性化する)
発表誌 Plant and Cell Physiology 51, 1788-1776 (2010)
要 旨   細胞質分裂は、複製した遺伝情報を正確に娘細胞に分配するための重要な過程である。植物の細胞質分裂は、主に微小管から成るフラグモプラストと呼ばれる細胞質分裂装置の中で細胞板が形成されることにより起こる。フラグモプラストは、分配されつつある娘染色体の間に形成され、細胞の内側から外側に向かって拡大成長する。細胞板は、フラグモプラストの拡大成長にともなって内側から外側に伸長し、細胞を分割すると同時に染色体を娘細胞に正確に分配する。我々はこれまでに、タバコ細胞において、キネシン様タンパク質であるNACK1とMAPキナーゼ(MAPK)カスケードによって構成されるNACK-PQR経路が、フラグモプラストの拡大成長を促進し、細胞質分裂に必須であることを示してきた。今回、我々はシロイヌナズナにも、NACK-PQR経路が存在していることを示し、この経路が植物種間で保存された経路である可能性を示した。これまでの変異体の解析から、シロイヌナズナではHINKELキネシン様タンパク質とANP MPKKK、MKK6 MAPKKが細胞質分裂に関わっていることが分かっていた。この論文では、酵母細胞を用いて、これらの因子が同一経路で機能することを報告した。また、MKK6は、細胞質分裂時、HINKELと同様に細胞板形成部位に局在した(図1)。さらに、MKK6は、試験管内で、代表的なMAPキナーゼの中でMPK4を特異的にリン酸化した。これらの結果から、HINKEL、ANPs、MKK6、MPK4がシロイヌナズナにおけるNACK-PQR経路の構成因子であり、細胞質分裂を制御している可能性が考えられる(図2)。
図1
図1 分裂中の細胞におけるMKK6の細胞内局在。GFP-MKK6(右:緑)が染色体(左下:青)の間の細胞板形成部位(左上:赤)に共局在している(中央:黄色)。
図2
図2 生化学的に同一経路であることが示されたシロイヌナズナの細胞質分裂を制御するキネシン様タンパク質とMAPキナーゼカスケード(NACK-PQR経路)。なお、我々の別な実験から、MKK6 の下流には、MPK4 以外の MAP キナーゼがある可能性も指摘されている。
研究室HP http://www.bio.nagoya-u.ac.jp:8001/~yas/b2.html