論文紹介

研究代表者 塚谷 裕一 所 属 東京大学大学院理学系研究科及び
基礎生物学研究所
著 者 Takahiro Yamaguchi, Satoshi Yano, Hirokazu Tsukaya
(山口貴大、矢野覚士、塚谷 裕一)
論文題目 Genetic Framework for Flattened Leaf Blade Formation in Unifacial Leaves
(単面葉における平たい葉身形成を司る遺伝子メカニズム)
発表誌 Plant Cell 22: 2141-2155
要 旨   葉は光を受けて栄養分を作り出す光合成をおこなう場所です。多くの光を集めて効率の良い光合成をおこなうために、葉はふつう、表側と裏側の性質をもつ平たい形になるのが特徴で、このような葉を「両面葉」といいます。両面葉は、葉の表と裏の両方の性質が確立しないと、平面成長できません。両面葉が面積を広げる平面は、裏と表の境に沿って作られるからです。
 一方、アヤメやネギといった一部の植物は、「単面葉」という裏側の性質しか持たない葉をつくります。この単面葉の形作りの仕組みはこれまで不明でしたが、今回その基本的な仕組みが世界で初めて明らかになりました。
 すなわち私たちの研究グループは、単面葉では、葉の裏側の性質を決める遺伝子が葉全体で働くことで、裏側の性質しかもたなくなることを発見しました。さらに単面葉が、両面葉とは異なる仕組みで葉を平たくできるその仕組みを解析し、DROOPING LEAF (DL) という遺伝子が、単面葉を平たくする働きを持つことを発見しました。この成果は、米科学雑誌 Plant Cell 誌に掲載され、掲載号の表紙にも採用されました。
図1
図 通常よく目にする両面葉と単面葉の違い。単面葉は裏しかないので、両面葉で知られている仕組みからすれば、ネギのように棒状にしかなれないはずですが、実際にはアヤメのように、平らな面を作る種類もあります。ただしその展開の向きは両面葉と大きく異なります。今回、私たちはその仕組みを明らかにしました。
研究室HP http://www.nibb.ac.jp/%7Ebioenv2/indexj.html
http://www.biol.s.u-tokyo.ac.jp/users/bionev2/top_j.html