論文紹介

研究代表者 出村拓
福田裕穂
所 属 奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科・理化学研究所バイオマス工学プログラム
東京大学大学院理学系研究科
著 者 Masatoshi Yamaguchi, Misato Ohtani, Nobutaka Mitsuda, Minoru Kubo, Masaru Ohme-Takagi, Hiroo Fukuda, Taku Demura
(山口雅利、大谷美沙都、光田展隆、久保稔、高木優、福田裕穂、出村拓)
論文題目

VND-INTERACTING2, a NAC domain transcription factor, negatively regulates xylem vessel formation in Araidopsis.
(NACドメイン転写因子であるVND-INTERACTING2はシロイヌナズナにおいて道管形成を負に制御する)

発表誌 The Plant Cell, in press
要 旨

 私たちはこれまでに、道管分化を促進する因子としてNACドメイン転写因子をコードするVND7を同定した(Kubo et al., 2005, Genes Dev.; Yamaguchi et al., 2008, Plant J)。本研究においては、道管分化の制御機構を解明することを目的として、VND7と相互作用する因子の探索を行い、得られた因子の機能解析を行った。
  酵母two-hybrid法によるスクリーニングの結果、新規NACドメイン転写因子をコードするVNI2を単離した。VNI2とVND7との作用機構を解析するため、一過的発現解析を行ったところ、VNI2を共発現させることで、VND7の転写活性が抑えられることが明らかとなった。また、 VNI2の発現パターンを調べたところ、VND7と比較して、発現のピークが道管分化過程のより早い時期にシフトしていた。そこで、VND7プロモーターによりVNI2の発現を道管分化のより後期まで発現させた形質転換体を作出したところ、道管形成が著しく阻害された表現型が観察された(図)。これらの結果は、VNI2は、VND7もしくは他のVNDと結合し、それらの機能を阻害することで道管分化を制御していることを示している。

  

図:コントロール植物体(左)と安定型VNI2をVND7プロモーターで発現させた形質転換体の葉(右)。VNI2の発現を亢進させた植物体では、道管が途切れている。スケールバーは500 μm。

研究室HP http://labs.psc.riken.jp/mrt/index.html
http://www.biol.s.u-tokyo.ac.jp/users/seigyo/lab.html