研究代表者 |
相田光宏・田坂昌生 |
所 属 |
奈良先端科学技術大学院大学・バイオサイエンス研究科 |
著 者 |
Sho Takano, Mitsuru Niihama, Harley M. S. Smith, Masao Tasaka, and Mitsuhiro Aida
(
高野翔、新濱充、Harley M. S. Smith、田坂昌生、相田光宏) |
論文題目 |
gorgon, a Novel Missense Mutation in the SHOOT MERISTEMLESS Gene, Impairs Shoot Meristem Homeostasis in Arabidopsis
(
シロイヌナズナのSHOOT MERISTEM遺伝子に生じた新たなミスセンス変異gorgonは茎頂メリステムの恒常性に異常を引き起こす) |
発表誌 |
Plant & Cell Physiology 51: 621-634 2010 |
要 旨 |
植物の体の大部分は、メリステムと呼ばれる小さな組織から生み出される。メリステムでは盛んに細胞が分裂して数を増やし、増えた分の細胞が葉や花などの新しい器官を作るために使われる。ふつうはこの細胞の収支が釣り合っているため、メリステムは常に一定のサイズを保ったまま、安定して新しい器官を作り続けることができる。しかし何らかの原因でこのバランスが乱れると、メリステムのサイズが縮小したり逆に大きくなりすぎたり、といった不都合が起こる。
この論文で報告したシロイヌナズナのgorgon変異体では、発芽直後からメリステムが拡大し続け、花を作る頃には肉眼で見えるほどにまでに肥大する。その後、肥大したメリステムから一斉に花や枝がつくられ、まるで蛇の髪の毛をもった怪物ゴルゴンのような形になる。今回の解析の結果、gorgon変異体ではSTMというタンパク質中のアミノ酸の一つが別のものに変異していることがわかった。STMはイネやトウモロコシ、トマトなど幅広い植物種に存在する重要なタンパク質の一つであり、メリステムの維持に関わる様々な遺伝子の転写を制御していると考えられている。今後、gorgon変異体に生じたアミノ酸変異の性質を詳しく調べていくことで、STMがどのようにしてメリステムサイズの調節に関わっているのかが明らかに出来ると期待される。
なお、この論文を元にしたデザインが掲載号の表紙に採用された。
A) ゴルゴン変異体の肥大したメリステムから一斉に形成された花と枝。右下は同時期の正常なシロイヌナズナ。写真の縮尺は同一。
B) ゴルゴン変異体の肥大したメリステム。右下は同時期の正常なシロイヌナズナのメリステム。写真の縮尺は同一。
C) STMタンパク質の一次構造の模式図。gorgonではDNA結合領域であるホメオドメイン内のアルギニンがリシンに変異していた。
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研究室HP |
相田HP http://bsgcoe.naist.jp/en/special.html
田坂HP http://bsw3.naist.jp/keihatsu/keihatsu.html |