論文紹介
研究代表者 |
渡辺雄一郎 |
所 属 |
東京大学大学院総合文化研究科生命環境科学系 |
著 者 |
Nobuyoshi Kumakura, Atsushi
Takeda, Yoichiro Fujioka, Hiroyasu Motose, Ryo Takano, Yuichiro
Watanabe
(熊倉直祐、竹田篤史、藤岡容一朗、本瀬宏康、高野遼、渡辺雄一郎) |
論文題目 |
SGS3 and RDR6 interact and colocalize in cytoplasmic SGS3/RDR6-bodies
(シロイヌナズナSGS3とRDR6が相互作用し、細胞質顆粒で共局在する)
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発表誌 |
FEBS Letters, 583, 1261-1266,
2009 |
要 旨 |
植物において、いくつかの種類の小分子RNAがしられている。その中でta-siRNAと呼ばれる小分子RNAは真核生物の中でも植物にのみみられるものであるが、種々の転写因子の発現制御、オーキシン応答、葉の極性などに影響を与える点で、植物の体制が形成される上でも重要と考えられる。その生成過程はまだ不明な点が多いなかで、おもに遺伝学的にAGO1(Argonaute
1) 、RDR6 (RNA-dependent RNA polymerase 6)、 SGS3 (suppressor of
gene silencing 3)といった因子の関与が示されている。今回、蛍光蛋白質と融合させたSGS3, RDR6を植物にAgro-infiltrationで発現させ、そのうえで細胞内での局在を観察した。AGO1が局在するといわれているProcessing
body (P-body)をdecapping enzyme 1 (DCP1)をマーカーにして観察した。そうしたところ、P-body構造とは独立に、別の構造としてSGS3/RDR6が局在する構造が観察された。われわれはこれをSGS3/RDR6
bodyと名付け、細胞内におけるRNAを介した遺伝子発現制御、さらにどのように植物の体制の維持・形成、あるいは植物の環境応答に関与しているかが次の大きな興味となっている。
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図1 表皮細胞におけるSGS/RDR6 body (緑)と Processing-body
(赤)が示す局在のようす。
緑はSGS3, RDR6双方が分子間相互作用して出すBiFC法による蛍光、赤はDCP1:mCherryによる蛍光。それぞれ蛍光による顆粒構造が認められるが、双方の色が重なることはほとんどない。遺伝学的にta-siRNA形成に対して、遺伝学的に同等に関与が示されているが、機能との関連でこのように異なる局在をしめし、構造を形成する事実は非常に興味深い。
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研究室HP |
http://bio.c.u-tokyo.ac.jp/labs/watanabe/index.htm |
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