論文紹介

研究代表者 柿本辰男 所 属 大阪大学大学院理学研究科
著 者 Miho Matsumoto-Kitano, Takami Kusumoto, Petr Tarkowski, Kaori Kinoshita-Tsujimura, Katerina Vaclavíkova, Kaori Miyawakia, Tatsuo Kakimotoa 
(北野美保、楠本隆己、Petr Tarkowski, 辻村香織, Katerina Vaclavíkova, 宮脇香織、柿本辰男)
論文題目

Cytokinins are central regulators of cambial activity.
(サイトカイニンは形成層の活性制御の重要な調節因子である)。

発表誌 PNAS 105,20027-20031, 2008
要 旨  植物は、茎と根の先端の生長点で基本的な構造を作った後、肥大成長をします。樹木の茎や根は長年の肥大成長によって大きく育ち、地球の生存圏炭素の多くの割合を貯めます。植物が肥大成長をどのように調節しているのかは良くわかっていませんでした。私達は、シロイヌナズナのサイトカイニン合成酵素遺伝子の多重破壊株を用いた研究により、植物ホルモンのサイトカイニンが肥大成長を担う形成層の活性の重要な調節因子であることを明らかにしました。サイトカイニン合成酵素遺伝子多重破壊株と野生型植物の接ぎ木実験により、イソペンテニルアデニンタイプのサイトカイニンは地上部から根へ、トランスゼアチンタイプのサイトカイニンは根から地上部に輸送されること、また、輸送されたサイトカイニンは植物の成長を支えるのに十分な量であることを証明しました。
図1
図1 シロイヌナズナの根の横断面。サイトカイニンは肥厚を調節する。
研究室HP http://www.bio.sci.osaka-u.ac.jp/dbs01/re-paper-temp.php?id=2