研究代表者 |
町田泰則 |
所 属 |
名古屋大学 理学研究科生命理学専攻 |
著 者 |
Yoko Matsumura, Hidekazu Iwakawa, Yasunori Machida , and Chiyoko Machida
(松村葉子、岩川秀和、町田泰則、町田千代子) |
論文題目 |
Characterization of genes in the ASYMMETRIC LEAVES2/LATERAL ORGAN BOUNDARIES (AS2/LOB) family in Arabidopsis thaliana and functional and molecular comparisons between AS2 and other family members
(シロイヌナズナの AS2/LB ファミリー遺伝子群の特徴づけとAS2 遺伝子と他のメンバーの分子的・機能的関連性についての研究) |
発表誌 |
The Plant Journal Jan 19, Epub (2009) |
要 旨 |
葉は、構造的には、左右相称であり、基部・先端部軸及び向背軸(表・裏軸)という軸性を保持する器官と見ることができる。シロイヌナズナの AS2 遺伝子は、これら3つの基本骨格にそった葉の形成に必要である。つまり、この遺伝子に変異が入ると、すべての基本骨格にそった形態形成が不全となる。AS2 タンパク質は、42個のタンパク質(ASL1-41)を含む AS2/LOB ファミリーに属する。42個のメンバーは、N末端側にアミノ酸配列が類似している AS2/LOB ドメインを持つ。本論文では、このファミリーの中に AS2と類似した機能を保持しているメンバーが存在するかどうかを検討した。我々は、すべてのメンバーの cDNA を作製し、予想されるアミノ酸配列の類似性を調べた。その結果、全長に渡って AS2 と類似しているメンバーは存在しなかった(図1)。また、すべてについて、シロイヌナズナの器官別転写産物の蓄積パターンを調べた。AS2と同様な発現パターンを示したものは他になかった。さらに、我々は AS2 とAS2 に最も近いメンバー(ASL1〜ASL4)及び比較的遠いメンバー(ASL15など)の AS2/LOB ドメインの配列の機能的類似性を、ドメイン交換実験により調べた。その結果、一番近い ASL1 のAS2/LOB ドメインのみがわずかに AS2 のそれと機能的な置換えが可能であったが、他のものは、できなかった。以上の実験から、AS2 遺伝子と類似した機能をしている遺伝子は存在していないと推察される。また、詳細なドメイン置換実験から、AS2/LOB ドメインの機能的特異性は、わずかなアミノ酸配列の違いにより生み出されていることも推察された。
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図1AS2/LOB ファミリータンパク質の各メンバーの C 末端側半分のアミノ酸配列の比較
数字は同一のアミノ酸残基が存在する割合を示す(%)。35% 以上が同一であるものを Group 化した。ASL に付与されている数字は、AS2 の AS2/LOB ドメインのアミノ酸配列に類似しているものから順につけてある。つまり、ASL1 の AS2/LOBドメインが、AS2 のそれに最も類似している(Iwakawa et al., PCP 43: 467, 2002)。Group の下の括弧内の数字は全長を比較した時の % である。構造的に類似しているメンバーが8グループ存在することを示す。 |
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研究室HP |
http://www.bio.nagoya-u.ac.jp:8001/~yas/b2.html |