研究代表者 |
塚谷裕一 |
所 属 |
東京大学大学院理学系研究科基礎生物学研究所 |
著 者 |
Usami T, Horiguchi G, Yano S and Tsukaya H
(宇佐見健、堀口吾朗、矢野覚、塚谷裕一) |
論文題目 |
The more and smaller cells mutants of Arabidopsis thaliana identify novel roles for SQUAMOSA PROMOTER BINDING PROTEIN-LIKE genes in the control of heteroblasty.
(シロイヌナズナのmore and smaller cells 変異の解析から明らかになった、異型葉性制御に関するSQUAMOSA PROMOTER BINDING PROTEIN-LIKE の新たな機能) |
発表誌 |
Development 136: 955-964. |
要 旨 |
植物の葉については、株が若い時と成熟した時とで形・サイズが異なるという現象が、多くの植物で知られています。このような現象は、異形葉性と呼ばれています。私たちのグループは、シロイヌナズナの変異体の解析から、この異形葉性の背景となる仕組みを新たに発見しました。
シロイヌナズナにも異形葉性があります。そして後から出る葉ほど、葉の大型化に伴い細胞の数が増えることは推察されていましたが、細胞の大きさが変化するとは思われていませんでした。
今回の発見のきっかけは、通常よりも若い時期により大きな葉をつけるmsc突然変異体です。この変異体の葉では、野生株よりも細胞数が多い一方、細胞体積は逆に小さくなっていました。そこで野生株を改めて調べてみると、後出葉ほど細胞数が増え、細胞体積は小さくなっていくことがわかりました。今回見つかった変異体は、異型葉性が前倒しに早くなる性質を持っていたのです。
詳しい解析により、これらの変異体では特別なRNA(miR156)の働きが異常となっていることがわかりました。これまで、葉の形が成熟個体らしくなっていく仕組みとしては、このmiR156による制御の他に、もう一つ、tasiRNAを使う仕組みがあることが知られていましたが、tasiRNAの方には、細胞数と体積を変える能力はありませんでした。人間と同じで、外見を大人っぽく見せる仕組みと、中身を大人らしくする仕組みとは、別だったというわけです。
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図1msc3変異体の葉。野生株より大きく、これを構成する細胞の数も多いが、細胞1つ1つはむしろ小さい。 |
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研究室HP |
http://www.nibb.ac.jp/%7Ebioenv2/indexj.html
http://www.biol.s.u-tokyo.ac.jp/users/bionev2/top_j.html |