研究業績

上川内研のメンバーが著者に入っている論文などの一覧です。



■ Tools


ChaIN (Yoon et al., 2013)

 

■ 発表論文 Research Papers


【2017年】

Ishikawa Y, Okamoto N, Nakamura M, Kim H, Kamikouchi A (2017).

Anatomic and physiologic heterogeneity of subgroup-A auditory sensory neurons in fruit flies.
Frontiers in Neural Circuits, doi: 10.3389/fncir.2017.00046.

ショウジョウバエが持つ聴感覚細胞のうち、広域の音に応答する「A細胞群」と呼ばれる一細胞群については、その特性や機能は、あまりよく分かっていませんでした。私たちは新しく発見した多数のショウジョウバエ系統を使うことで、このA細胞群の軸索投射パターンを単一細胞レベルで徹底解明しました。また同時に、それら神経細胞の応答性をグループ分けして調べました。その結果、これまでの想定をはるかに超える、非常に多様性の高い細胞群であることを発見しました。さらにこれらの細胞は、求愛歌への応答行動にも機能することを見出しました。この聴覚経路は、多様な周波数を含むショウジョウバエの求愛歌の情報を効率よく取り出す仕組みを担っている可能性があります。


【2016年】

Ishikawa Y, Aonuma H, Sasaki K, Miura T (2016).

Tyraminergic and octopaminergic modulation of defensive behavior in termite soldier.
PLoS ONE, 11(5): e0154230.

この論文では、兵隊シロアリの高い攻撃性を生み出す神経メカニズムを明らかにしました。アリやハチでは分業に関わるメカニズムの研究が進んでいますが、彼らとは独立に社会性を獲得したシロアリではこのような研究は全く行われていませんでした。調べてみると、アリやハチで攻撃性や分業に関与していると考えられているチラミン/オクトパミン系が、兵隊シロアリの攻撃性にも重要な役割を果たしていることがわかりました。全く異なる系統において進化した真社会性においても、共通した神経メカニズムが用いられているのはとても興味深いことです。

Matsuo E, Seki H, Asai T, Morimoto T, Miyakawa H, Ito K, Kamikouchi A (2016).

The organization of projection neurons and local neurons of the primary auditory center in the fruit fly Drosophila melanogaster.
J Comp Neurol, 524(6):1099-164.

ショウジョウバエの脳での、二次聴覚神経細胞を網羅的に同定して、その神経回路構造を解明した論文です。この研究成果により、ショウジョウバエの脳での聴覚情報処理様式を推定することが可能になりました。全長66ページにわたるこの論文は、当該分野の記念碑的論文として、表紙に採択されました。


【2015年】

Sano H, Nakamura A, Texada JM, Truman JT,Ishimoto H, Kamikouchi A, Nibu Y, Kume K, Ida T, Kojima M (2015).

The Nutrient-Responsive Hormone CCHamide-2 Controls Growth by Regulating Insulin-like Peptides in the Brain of Drosophila melanogaster.
PLoS Genetics, 11(5): e1005209

久留米大学分子生命科学研究所の佐野浩子先生との共同研究です。米国留学前、先にロックフェラー研究所に留学されていた佐野さんにお話を伺いに行った時が最初の出会いでした。ニューヨークのインドレストランで食べたカレーの味が懐かしいです。あれからX年、時は流れて一緒に研究が出来るなんて夢みたいです。昆虫の脳にはインシュリン様ペプチドホルモン(dilps)を分泌する神経細胞(IP cells)があります。本研究は、末梢組織(脂肪体)から分泌されるCCHamide-2というホルモンが脳のIP cellsに働き掛けてdilpsの分泌を制御し、個体の成長を栄養条件と協調的に制御することを示しました。脳のホルモン分泌細胞と末梢組織を結ぶ分子の存在は長らく謎でした。本研究はこの謎に迫る試みです。脳のカルシウムイメージング実験で協力させて頂きました。(石元)


【2014年】

Morimoto-Suzki N, Hirabayashi Y, Tyssowski K, Shinga J, Vidal M, Koseki H, Gotoh Y (2014).

The polycomb component Ring1B regulates the timed termination of subcerebral projection neuron production during mouse neocortical development.
Development. 141(22):4343-53.

マウス大脳発生期において、神経幹細胞が種々のニューロンを生み分ける時、エピジェネティックな制御が存在することを示しました。これは、ニューロンの数を制御する仕組みの一つと考えられます。Faculty of 1000 NeuroscienceにてRecommendedされました。

Matsuo E(#), Yamada D(#), Ishikawa Y, Asai T, Ishimoto H, Kamikouchi A (2014). (#)Equal contribution

Identification of novel vibration- and deflection-sensitive neuronal subgroups in Johnston’s organ of the fruit fly.
Frontiers in Physiology. 5:179. doi: 10.3389/fphys.2014.00179

ショウジョウバエの耳である「ジョンストン器官」はA, B, C, D, Eと呼ばれる5種類の感覚神経細胞群を持っています。そのうちD細胞群は、解剖学的には他の細胞群と異なるユニークな特徴を持ちますが、その性質は不明でした。今回私達は、このD細胞群が音などに起因する触角の揺れと、重力や風などによる触角の傾きの両方に反応するという、他の細胞群とは異なる特性を持つことを発見しました。今回の発見により、ジョンストン器官を構成する5つの細胞群の応答特性が全て解明され、ショウジョウバエが触角の動き方をどのように脳内表現しているか、という謎が解明されました。

Gotoh H, Miyakawa H, Ishikawa A, Ishikawa Y, Sugime Y, Emlen DJ, Lavine LC, Miura T(2014).

Developmental link between sex and nutrition; doublesex regulates sex-specific mandible growth via juvenile hormone signaling in stag beetles.
PLoS Genetics, 10(1): e1004098

ワシントン州立大学(当時)の後藤さんとの共同研究です。クワガタなど甲虫のオスは栄養状態に応じてと武器形質(角や大顎)を大きく発達させます。この研究は、インドネシア産のメタリフェルホソアカクワガタを用いて、doublesexという遺伝子が幼若ホルモンに対する応答性を性特異的に調節することで、このオス特異的な武器形質の発達が実現されることを明らかにしました。


【2013年】

Ishimoto H, Wang Z, Rao Y, Wu CF, Kitamoto T (2013).

A Novel Role for Ecdysone in Drosophila Conditioned Behavior: Linking GPCR-mediated Non-canonical Steroid Action to cAMP Signaling in the Adult Brain.
PLoS Genetics. 9(10): e1003843. doi:10.1371/journal.pgen.1003843.

昆虫のステロイドホルモン「エクジソン」の神経行動学的働きを明らかにした第3弾!です。エクジソンシグナルが膜受容体型エクジソン受容体を介して記憶一般に重要なcAMPカスケードに作用していることを明らかにしました。このようなnon-genomicなエクジソンの働きの解明は今後の大きな課題です。

Yoon J, Matsuo E, Yamada D, Mizuno H, Morimoto T, Miyakawa H, Kinoshita S, Ishimoto H, Kamikouchi A (2013).
Selectivity and plasticity in a sound-evoked male-male interaction in Drosophila.
PLoS ONE 8(9): e74289. doi:10.1371/journal.pone.0074289
ショウジョウバエの聴覚行動を自動で解析するソフトウェア CHaIN をつくりました。これを使った解析から,近縁種間の聴覚行動の違いや,聴覚行動の可塑的な変化が明らかになりました。ソフトウェアはこちらからダウンロードできます。

Hattori A, Sugime Y, Sasa C, Miyakawa H, Ishikawa Y, Miyazaki S, Okada Y, Cornette R, Lavine LC, Emlen DJ, Koshikawa S, Miura T (2013).
Soldier morphogenesis in the damp-wood termite is regulated by the insulin signaling pathway.
J Exp Zool B 320(5):295-306. doi: 10.1002/jez.b.22501
北海道大学(当時)の服部さんとの共同研究です。社会性昆虫であるシロアリは、ほぼ同じゲノム情報を持つ個体が、生殖虫(王や女王)、ワーカー、兵隊など、全く異なる形態を持つ“カースト”に分化します。私たちは、このシロアリの兵隊分化における形態形成にインスリンシグナルが重要な役割を果たしていることを発見しました。



 2012年以前の文献はこちら

 

 

■ 総説 Reviews

Ishikawa Y, Kamikouchi A (2016).
Auditory system of fruit flies.
Hearing research. 338: 1-8.

国際的な聴覚の専門雑誌に、ショウジョウバエを使った聴覚研究の最前線を解説しています。

上川内あづさ (2013).
ショウジョウバエの音響交信を支える神経基盤 :求愛歌を受容する聴覚系のしくみ.
生物科学. 65(2): 95-101.

ショウジョウバエが「求愛歌」と呼ばれる羽音を使って同種間でコミュニケーションを行います。そのような聴覚コミュニケーションの成立に必要な神経基盤を解説しました。

Kamikouchi A (2013).
Auditory neuroscience in fruit flies.
Neurosci Res. 76(3):113-8.

最近急速に発展して来た、ショウジョウバエを使った聴覚研究について、最新の知見を概説しました。

Matsuo E,Kamikouchi A (2013).
Neuronal encoding of sound, gravity, and wind in the fruit fly.
J Comp Physiol A. 199(4):253-62.

ショウジョウバエの神経系が音、重力,風の情報をどのようにコードするかを実際の実験データを基に,分かりやすく解説しました。

松尾恵倫子上川内あづさ (2013).
ショウジョウバエの「耳」を起点とする機械感覚情報処理システム.
細胞工学. 32:454-460.

ショウジョウバエは私たちの耳と機能的に類似した「ジョンストン器官」と呼ばれる「耳」を持っています。このショウジョウバエの「耳」がどのようにして様々な機械感覚情報を受け取っているのか、その情報処理機構も含めて解説しました。

Yamamoto D, Ishikawa Y (2013).
Genetic and Neural Bases for Species-Specific Behavior in Drosophila Species.
J Neurogenetics :27(3), pp.130-142, doi:10.3109/01677063.2013.800060

東北大の山元大輔先生と一緒に書いた総説です。進化発生学(Evo-Devo)は、生物進化の分子発生基盤を探る学問分野ですが、これまでは主に形態形質の進化に注目が集まる一方、行動形質に関してはあまり研究されてきませんでした。この総説ではショウジョウバエの種特異的な行動に注目し、その分子基盤や神経基盤に迫る先駆的な研究をまとめました。

Ishimoto H, Lark AR and Kitamoto T. (2012)
Factors that differentially affect daytime and nighttime sleep in Drosophila.
Front. Neur. 3:24. doi: 10.3389/fneur.2012.00024

ショウジョウバエの睡眠行動は昼間と夜間にそれぞれピークがあります。面白い事に、様々な証拠からショウ ジョウバエの昼と夜の睡眠調節は独立したメカニズムで成立しているようです。

 
2011年以前の文献はこちら

 

 

■ 著書 Books

Kamikouchi A, Ishikawa Y (2016).
Hearing in Drosophila. In: Insect Hearing (Eds: Pollack GS, Mason AC, Popper AN, Fay RR).
Springer Japan. ISBN 978-3-319-28890-1

昆虫の聴覚に関するこれまでの知見を総まとめした教科書「Insect Hearing」において、ショウジョウバエの聴覚系についての章を執筆しました。

Eberl DF, Kamikouchi A, Albert J T (2016).
Auditory Transduction. In: Insect Hearing (Eds: Pollack GS, Mason AC, Popper AN, Fay RR).
Springer Japan. ISBN 978-3-319-28890-1

昆虫の聴覚に関するこれまでの知見を総まとめした教科書「Insect Hearing」において、音情報の伝達機構についての章を執筆しました。

石元広志松尾恵倫子上川内あづさ (2015).
研究者が教える動物実験 第1巻 感覚 日本比較生理生化学会 編集
共立出版. ISBN: 978-4-320-05772-2

「音への応答行動を測る:求愛歌は効果あり?」「重力への応答行動を測る:ショウジョウバエは上に逃げる?」という2つの項目を執筆しました。高校生や大学生が、自分たちでもショウジョウバエを使った実験ができるように、実験道具の作り方も紹介しました。

久保健雄、上川内あづさ、竹内秀明、奥山輝大 (2014).
動物行動の分子生物学 (新・生命科学シリーズ)
裳華房. ISBN: 4785358580

動物の行動メカニズムを分子レベルでどのように解明していくか、様々な研究例を紹介して分かりやすく解説しました。

Kamikouchi A, Fiala A (2013).
Monitoring neural activity with genetically-encoded Ca2+ indicators. In: Methods in Neuroethological Research (Eds: Ogawa H, Oka K).
Springer Japan. ISBN-13: 978-4431543305

ショウジョウバエの分子遺伝学を駆使したカルシウムイメージング法の原理や実験方法について分かりやすく解説しました。

石川 由希(2012).
4.6 兵蟻における神経改変, シロアリの事典
海青社


石川 由希(2012).
オオシロアリ, 研究者が教える動物の飼育 第2巻 -昆虫とクモの仲間-
共立出版


石川 由希(2011).
第4章 社会性昆虫の行動遺伝学, 行動遺伝学入門: 動物とヒトの"こころ"の科学
裳華房