腫瘍形成遺伝子と
細胞増殖
最近の関連文献: 
Kitakura et al. Plant Cell 2002
 
 

私達は、細胞増殖の分子機構を知るために、植物病原菌の腫瘍形成遺伝子を利用している。腫瘍遺伝子 6b 遺伝子は植物細胞で強制発現させると、ホルモンが無くても、細胞が増殖するようになる。つまり、6b タンパク質は、植物細胞の中でホルモンに代わりうる。また、6b を発現する形質転換タバコでは葉が変形し、裏側から扁平な突起が出現した(Fig  B,C)。異常がひどくなると、葉は握り拳のようになった(Fig D )。異常の強さは 6b の発現レベルに依存していた依存していた(Fig E)。私達は、このような異常は「6b タンパク質が植物細胞の増殖に関わるタンパク質と相互作用して誘導される」と言う仮説を立てて、タバコからそのようなタンパク質のcDNA を単離した。NtSIP1 はそのようなタンパク質の一つであり、核に局在することから、何らかの遺伝子の転写因子と思われる。実際、メリステム機能に関わっているClass 1 knox ホメオボックス遺伝子(NTH15)や NACK1 のmRNA の蓄積レベルが上昇していた(Fig  E)。現在、6b がどのようにしてこれらの遺伝子発現を促進しているのかを研究している。Fig 2
 
 
Figure

6b 遺伝子が発現している形質転換タバコの葉
A: 正常葉、 B: 弱い異常、C: B の拡大図、D: 強い異常、E: RNA のノザンブロット解析。1: 成熟葉、2: メリステム、3. B の葉、4: D の葉。左側はプローブ。

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