細胞質分裂と
MAPK cascade
最近の関連文献: 
Nishihama et al. Genes & Dev. 2001;  Ito et al. Plant Cell 2001;  Nishihama et al. Cell 2002
 
 

私達は、Fig  A に示すような MAP キナーゼ(MAPK)カスケードが、植物細胞の増殖に関わっていることを明らかにした。この MAPK カスケードは、NPK1 キナーゼ(MAPKKK)、NQK1 キナーゼ(MAPKK)、NRK1 キナーゼ(MAPK)を含み、他の生物のものと同様、リン酸化により下流のキナーゼを活性化している。他の系に見られない特徴的なことは、NPK1 はキネシン様タンパク質である NACK1 との結合により活性化されることである。NACK1 は細胞周期の M 期に合成され、M 期が過ぎると消失する。また、このカスケードの 3 つの因子は M 期の後期に活性化される。さらに、Fig  B に示すように、NACK1 と NPK1 は中期以降になると、フラグモプラスト(微小管を中心とする構造体で、細胞板形成の装置)の赤道面に共局在する(図の緑と赤色)。NPK1 や NACK1 のドミナントネガティブ型を発現させると、細胞板形成が停止し、Fig  C のような多核細胞が出現することがわかった。このことは、NACK1/NPK1 複合体が細胞質分裂を正に制御していることを示している。現在、このカスケードの標的分子の探索しつつ、細胞質分裂以外の機能の可能性や植物ホルモン作用との関連も調べている。

GFPNPK1の局在をMovieで見る
(ストリーミング,~3.5MB)
 
間接蛍光抗体法による NPK1 分子の 3 次元的分布の観察(回転像)
NPK1 (黄色)、フラグモプラスト微小管(赤)、核(青)
(ストリーミング,~1.2MB)

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Figure

(A) NACK1 キネシン様タンパク質/ NPK1 MAPKKK が関わるMAPK カスケード。(B) 細胞周期の M 期後期における DNA(青), NPK1(緑), NACK1(赤) の細胞内局在。 (C) キナーゼ不活性型の NPK1 を発現した時に見られるタバコ培養細胞 BY-2 の多核化。最上段から順に、正常, 2, 4, 8, 16  核 細胞を示す(細胞は一つづつ示してある)。

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