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phalloidin stain of embryos (lateral epidermis)

Mizuno T.: 2001.03.08

Introduction

phalloidinは、F(filamentous)-アクチンに特異的に結合する分子であり、その性質を利用して、細胞内のF-アクチンを可視化するためによく用いられる。 F-アクチンは、細胞の表層に集積しているので、phalloidin 染色像は、細胞の形態を表している。 胚のphalloidin stainを行うときは、ビテリン膜をはがすときにメタノールを使えないので、80%エタノールを使ってはがすか、手ではがす必要がある。 80%エタノールを使ってはがすことを試みたことがあるが、効率よく行えなかった。 そこで、ここでは、手ではがす方法を書き記す。

Materials

Solutions and Reagents

  1. アップルジュースプレート
  2. 次亜塩素酸ナトリウム(4℃保存、あまり古くなると効きが悪くなる)
  3. 固定液(7.4%ホルムアルデヒド/PBS:ヘプタン=1:1。 使用直前に、水1.4ml、37%ホルムアルデヒド0.4ml、10XPBS0.2ml、ヘプタン2mlをボルテックスで混ぜてつくっている)
  4. PBST(ここでは、1X PBS、0.2%TritonX-100)
  5. PBST/BSA(PBSTに、最終濃度1%になるようにBSAを加える。 BSAが入っているので、一応4℃で保存している。)
  6. rhodamine-phalloidin(Molecular Probe社製。 説明書の通りにメタノールで溶かし、-20℃保存)
  7. PBST/BSA/phalloidin(PBST/BSAでrhodamine-phalloidinを40倍に希釈する)
  8. 退色防止剤入りのmountant(冷凍庫に入っているものを使っている)

Method

  1. アップルジュースプレート(50mlチューブ)で採卵する。

  2. 25℃、12時間(通常、プレートを替えてすぐに卵を産み、またすぐに卵を産まなくなるので、AEL12hrの胚が数多く存在する)。

  3. 胚を絵筆で回収する。

  4. 水で汚れを洗い流す。

  5. 次亜塩素酸ナトリウム(服に付くと、穴が空くので注意すること)でコリオンをはがす。(次亜塩素酸は薄めずに原液を使っている。)

  6. 数分後、実体顕微鏡でコリオンがはがれたことを確認する。 コリオンがはがれるとdorsal appendageがなくなり、胚に光沢がでる。

  7. 水で次亜塩素酸を洗い流す。

  8. 胚を絵筆で回収し、固定液に入れる。

  9. 20分間ローテーション。

  10. パスツールピペットを使い、固定液を取り除き、PBSTで3〜4回洗う。(ヘプタンが残っているうちは、胚は沈みにくい。)

  11. パスツールピペットで、表面をシリコン化したスライドグラスに胚を移す。

  12. 水分をペーパータオルで取り除く。 胚が乾きすぎるとビテリン膜をはがすときに、胚が壊れやすくなる、というより、ビテリン膜がはがれなくなる。 また、胚が変形してしまう。 水分を残しすぎると、両面テープへの張り付きが弱くなる。

  13. 胚を両面テープに張り付け、胚が上になるように両面テープをスライドに張り付ける。

  14. すぐに胚をPBSTで覆う。

    ここで、遺伝子型を見分けるためのX-gal染色を行うことができる。 しかし染色時間が長すぎると(3時間は駄目だった、30分では大丈夫であった)、おそらくTritonX-100の影響で、ビテリン膜をはがすときに胚が壊れやすくなる。 二番染色体は、Cyo,wg-lacZ、三番染色体は、TM3,P{ry=HZ2.7}DB2を使っている。

  15. タングステン針で、ビテリン膜をはがす。

  16. 胚を1.5mlチューブに回収する

  17. PBST/BSAでブロッキングする(これ以降、液量は全て0.5mlで行っている)。

  18. 30分間ローテーション

  19. PBST/BSA/phalloidinで染色する(これ以降、遮光)。

  20. 30分間ローテーション

  21. PBSTで洗う

  22. 10分間ローテーション X 3〜4

  23. 退色防止剤入りのmountantでスライドガラスにマウントする。

  24. 共焦点で観察する。