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Mizuno T.: 2001.03.08
phalloidinは、F(filamentous)-アクチンに特異的に結合する分子であり、その性質を利用して、細胞内のF-アクチンを可視化するためによく用いられる。 F-アクチンは、細胞の表層に集積しているので、phalloidin 染色像は、細胞の形態を表している。 胚のphalloidin stainを行うときは、ビテリン膜をはがすときにメタノールを使えないので、80%エタノールを使ってはがすか、手ではがす必要がある。 80%エタノールを使ってはがすことを試みたことがあるが、効率よく行えなかった。 そこで、ここでは、手ではがす方法を書き記す。
アップルジュースプレート(50mlチューブ)で採卵する。
25℃、12時間(通常、プレートを替えてすぐに卵を産み、またすぐに卵を産まなくなるので、AEL12hrの胚が数多く存在する)。
胚を絵筆で回収する。
水で汚れを洗い流す。
次亜塩素酸ナトリウム(服に付くと、穴が空くので注意すること)でコリオンをはがす。(次亜塩素酸は薄めずに原液を使っている。)
数分後、実体顕微鏡でコリオンがはがれたことを確認する。 コリオンがはがれるとdorsal appendageがなくなり、胚に光沢がでる。
水で次亜塩素酸を洗い流す。
胚を絵筆で回収し、固定液に入れる。
20分間ローテーション。
パスツールピペットを使い、固定液を取り除き、PBSTで3〜4回洗う。(ヘプタンが残っているうちは、胚は沈みにくい。)
パスツールピペットで、表面をシリコン化したスライドグラスに胚を移す。
水分をペーパータオルで取り除く。 胚が乾きすぎるとビテリン膜をはがすときに、胚が壊れやすくなる、というより、ビテリン膜がはがれなくなる。 また、胚が変形してしまう。 水分を残しすぎると、両面テープへの張り付きが弱くなる。
胚を両面テープに張り付け、胚が上になるように両面テープをスライドに張り付ける。
すぐに胚をPBSTで覆う。
ここで、遺伝子型を見分けるためのX-gal染色を行うことができる。 しかし染色時間が長すぎると(3時間は駄目だった、30分では大丈夫であった)、おそらくTritonX-100の影響で、ビテリン膜をはがすときに胚が壊れやすくなる。 二番染色体は、Cyo,wg-lacZ、三番染色体は、TM3,P{ry=HZ2.7}DB2を使っている。
タングステン針で、ビテリン膜をはがす。
胚を1.5mlチューブに回収する
PBST/BSAでブロッキングする(これ以降、液量は全て0.5mlで行っている)。
30分間ローテーション
PBST/BSA/phalloidinで染色する(これ以降、遮光)。
30分間ローテーション
PBSTで洗う
10分間ローテーション X 3〜4
退色防止剤入りのmountantでスライドガラスにマウントする。
共焦点で観察する。