研究代表者 |
梅田正明 |
所 属 |
奈良先端科学技術大学院大学
バイオサイエンス研究科 |
著 者 |
Hirotomo Takatsuka, Ryoko Ohno and Masaaki Umeda
(
高塚大知、大野良子、梅田正明) |
論文題目 |
The Arabidopsis cyclin-dependent kinase-activating kinase CDKF;1 is a major regulator of cell proliferation and cell expansion but is dispensable for CDKA activation
(シロイヌナズナのCDK活性化キナーゼCDKF;1は細胞分裂と細胞伸長を制御する主要な因子だが、CDKAの活性化には寄与しない) |
発表誌 |
The Plant Journal (in press) |
要 旨 |
メリステムにおける細胞分裂の過程、即ち細胞周期の進行にはサイクリン依存性キナーゼ(CDK)が極めて重要な働きをします。以前、私達はCDKの活性を高める役割を持つCDK活性化キナーゼ(CAK)が植物には4種存在することを突き止め、中でもCDKF;1が試験管内で最も高いCAK活性を持つことを明らかにしてきました。今回の論文では、シロイヌナズナのCDKF;1が発芽後の成長に重要な役割を持つことを明らかにしました。CDKF;1を失ったcdkf;1変異体は非常に矮小で(図1)、その原因は細胞数の大幅な減少と、細胞伸長の異常による細胞の大きさの矮小化であることがわかりました。さらにこういった表現型は、CDKF;1の欠失によりCAKの一種であるCDKD;2のタンパク質量が減少することに起因することが示唆されました。これらの結果から、CDKF;1はCDKD;2タンパク質の安定化を介して発芽後の細胞分裂と細胞伸長を制御し、植物の成長を調節していることが明らかになりました(図2)。一方、細胞周期の進行に直接的に関与するCDKA;1の活性はcdkf;1変異体においても低下していなかったことから、CDKA;1はCDKF;1以外のCAKにより活性化されている可能性が示唆されました。このように植物では動物には見られない、複数のCAKによる多様なCDK活性化のメカニズムが存在することが明らかになってきました。
 図1 cdkf;1変異体では根の伸長も地上部の成長も著しく阻害される。 |
 図2 CDKF;1はCDKD;2タンパク質をリン酸化し安定化させる。CDKD;2は基本転写反応を制御することにより、発芽後の細胞分裂と細胞伸長をコントロールする。 |
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研究室HP |
http://bsw3.naist.jp/umeda/index.html |