研究代表者 |
町田泰則 |
所 属 |
名古屋大学理学研究科生命理学専攻 |
著 者 |
Saeko Kitakura, Shinji Terakura, Yasushi Yoshioka, Chiyoko Machida, Yasunori Machida
(北倉佐恵子、寺倉伸治、吉岡 泰、町田千代子、町田泰則) |
論文題目 |
Interaction between Agrobacterium tumefaciens oncoprotein 6b and a tobacco nucleolar protein that is homologous to TNP1 encoded by a transposable element of Antirrhinum majus
(アグロバクテリュウム・ツメファシエンスのオンコタンパク質 6b はキンギョソウのトランスポゾンがコードする TNP1 と相同なタバコの核小体のタンパク質と相互作用する) |
発表誌 |
J. Plant Res. 121 (4), 425-433 (2008) |
要 旨 |
クラウン・ゴール腫瘍は、アグロバクテリュウム・ツメファシエンスが保有するTi プラスミド上の T-DNA が植物染色体に転移し、そこに存在しているいくつかの遺伝子の発現が原因となって形成される。腫瘍形成に必要な主な遺伝子については、すでに解明されているが、まだ役割が不明な遺伝子もある。その一つが 6b 遺伝子である。6b には、興味深い性質がある。例えば、6b をタバコの細胞で強く発現させると、細胞はホルモンを含まない培地上でもカルスを形成できる。このような 6b の細胞増殖を促進するメカニズムを知るために、我々は、6b と相互作用をするタバコのタンパク質を探索してきた。これまでに、3 種類のタンパク質を同定してきた。すでに2種類については論文を発表した。一つは、転写因子様のタンパク質(NtSIP1)であり、二つ目はヒストンH3であった(前回の論文紹介)。二つ目の論文では、 6b にはヒストン H3 シャペロンの活性があることも報告した。今回は3つ目の相互作用因子NtSIP2 の特徴を報告する。このタンパク質は、キンギョソウのトランスポゾンがコードする TNP1 タンパク質と相同であった。さらに、NtSIP2 は核小体に局在した(図1a, b)。また、6b タンパク質自身も、核質と核小体の限定された領域に局在した(図1c, d)。これまでの結果を総合すると、6b は核質だけでなく、核小体においてもヒストンシャペロンとして機能していることが考えられる。このような性質と、植物細胞に対する増殖刺激機能とが関係しているかもしれない。
 図1 NtSIP2 と 6b タンパク質の細胞内局在 a と b は、T7 標識した NtSIP2 の局在を、 T7 抗体で検出した。 c と d は、T7 標識した 6b タンパク質の局在を、T7 抗体で検出した。それぞれ、異なる2種類の細胞を調べた。
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研究室HP |
http://www.bio.nagoya-u.ac.jp:8001/~yas/b2.html |