論文紹介
研究代表者 |
角谷徹仁 |
所 属 |
国立遺伝学研究所 |
著 者 |
Saze, H., Shiraishi, A., Miura, A., Kakutani, T. (佐瀬英俊、白石明子、三浦明日香、角谷徹仁) |
論文題目 |
Control of genic DNA methylation by a jmjC domain-containing protein in Arabidopsis thaliana.
(jmjCドメインを持つシロイヌナズナの蛋白質による遺伝子DNAメチル化の制御) |
発表誌 |
Science, 319, 462-465 (2008) |
要 旨 |
反復配列のシトシンをメチル化するのはゲノム構造を安定化するのに重要である。一方で、通常の遺伝子を適切に発現させるためには、これらの遺伝子をメチル化しないでおく必要がある。野生型ではメチル化されていない遺伝子で異所的なメチル化の起こる突然変異体を選抜することによって、私達はjmjCドメインを持つ遺伝子であるIBM1 (increase in BONSAI methylation)を同定した。異所的メチル化とともに、ibm1突然変異では種々の発生異常が誘発される。また、それらの発生異常はヒストンH3の9番面のリジン(H3K9)のメチル化に依存した。不思議なことに、ibm1の表現型はクロマチン再構成遺伝子であるDDM1 (decrease in DNA methylation)の突然変異によって増強された。DDM1遺伝子は、反復配列のメチル化と抑制に必要であることがこれまでにわかっていた。これらの結果は、反復配列と遺伝子とで異なったメチル化を行うのにクロマチン再構成とヒストン修飾が重要であることを示している。
 図1 ibm1突然変異による発生異常は、H3K9のメチル化と非CpG配列のメチル化に依存する。 ibm1突然変異体では、葉の形態の異常(A)や稔性の低下(B)や花粉形態の異常(C)が観察される。これらの表現型は、H3K9メチル化酵素遺伝子 KYPや非CpGメチル化酵素遺伝子 CMT3の突然変異で抑圧される。別の言い方をすれば、 ibm1;
kypや ibm1; cmt3のような二重変異体では、 ibm1単独変異で見られるような発生異常はみられない。
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研究室HP |
http://www.nig.ac.jp/labs/AgrGen/home-j.html |
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