論文紹介

第26回論文紹介(2016.1更新)

グループ名

超分子機能学講座 生体膜機能グループ

著者

Shiwei Zhu,Ananthanarayanan Kumar, 小嶋誠司、本間道夫

タイトル(英)
FliL associates with the stator to support torque generation of the sodium-driven polar flagellar motor of Vibrio.
タイトル(日)

FliLは固定子に作用し、ビブリオ菌Na+駆動型極べん毛モーターのトルク発生を支える

Mol. Microbiol. 98・101-110・2015

細菌のべん毛モーターは、べん毛繊維を回転させてトルクを発生し、細胞運動を駆動する。個々のモーターは回転子とそれを取り囲む複数の固定子から成り立ち、固定子においてイオン流に共役したエネルギー変換が行われる。これまでにサルモネラ菌などで、膜タンパク質のFliLは固定子の近傍に位置し、トルク発生に関与することが示唆されていた。今回我々は、海洋性ビブリオ菌のNa+駆動型極べん毛モーターにおけるFliLの役割について調べた。その結果、FliLはビブリオ菌においても内膜を貫通する膜タンパク質であり、べん毛の基部に存在することが明らかとなった。また、fliL遺伝子を欠失しても細胞の形態やべん毛形成には影響しないが、遊泳速度の有意な低下が、特に負荷が大きい条件下で見られることから、高負荷環境におけるトルク発生においてFliLの機能が重要であると考えられた。このfliL欠失株では固定子の極局在が低下するものの、Na+に依存した固定子のモーターへの集合能は維持されていた。一方、固定子欠失株においてFliLの極局在が見られないことから、FliLが直接的あるいは間接的に固定子と相互作用していることが示唆された。以上の結果から、FliLは固定子とともに極に局在し、高負荷条件下における固定子のモーターへの安定な結合を維持することで、モーター機能を支えているのではないかと考えている。

図1:海洋性ビブリオ菌のFliLは極べん毛モーターの基部でモーター機能を支える

(A)海洋性ビブリオ菌の極べん毛運動野生株(WT)、fliL欠株(ΔfliL)、およびfliL欠失株においてヒスチジンタグを負荷したFliLを発現させた株(ΔfliL (His-FliL))の3株について、遊泳速度を測定した。ficoll濃度の上昇に伴い溶液の粘性が上昇する。fliL欠失株では粘性の上昇に伴い遊泳速度が野生型に比べて有意に低下している。(B) 海洋ビブリオ金極べん毛基部の模式図。本研究によりFliLは固定子とともにべん毛基部に位置し、特に高粘性条件下において固定子のモーターでの安定な維持に関わり、モーター機能を支えていると考えられる。

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