論文紹介

第26回論文紹介(2016.1更新)

グループ名
生体膜機能グループ
著者

小野宏樹、高島明里、平田ひかる、本間道夫、小嶋誠司

タイトル(英)
The MinD homolog FlhG regulates the synthesis of the single polar flagellum of Vibrio alginolyticus
タイトル(日)
ビブリオ菌の極べん毛形成を1本に制御するMinDホモログFlhGの機能解析
発表された専門誌
Molecular Microbiology, 98(1), 130-141, 2015

ビブリオ菌は細胞の極に1本のべん毛をもつが、その本数はべん毛形成を促進するFlhFと、その形成を阻害するFlhGによって制御されている。FlhGは細胞分裂を制御するMinDのホモログでありATPaseである。本研究では、FlhGのべん毛形成阻害機構を明らかにするために、ATPaseモチーフに変異を導入したFlhGを用いて解析を行った。精製した野生型FlhGは、低いATPase活性を示すが、FlhGの171番目のアスパラギン酸をアラニンに置換(D171A)することで活性が高まることがわかった。また、D171A変異体は細胞の極に強く局在し、菌体の運動能やべん毛形成を著しく阻害した。一方で、ATP結合能をもたないとされるK31A、K36Q変異体は、極局在せず、べん毛形成阻害能を失っていた。また、野生型やD171A変異導入時には、FlhFの極局在が阻害されるが、K36Q変異体はその阻害能が失われていた。ATPase活性はもたないがATP結合能はもつとされるD60A変異体では、べん毛形成阻害機能にはほとんど影響はなかった。以上の結果から、極べん毛の負の制御にはATP依存的なFlhGの極局在が重要であり、このときFlhFの極局在を阻害することが示唆された。ATPの加水分解能は、FlhGがより精密な制御機能を発揮するのに必要であると予想している。

図1:ビブリオ菌FlhGと大腸菌MinDのタンパク質一次構造

共通のモチーフをもち、多くのアミノ酸残基が保存されている。本研究で変異を導入したアミノ酸残基は太字で示している。

図2:ビブリオ菌のべん毛形成制御モデル

FlhFがはじめに細胞の極に局在する。FlhGはATPと結合すると極へ局在し(赤丸)、ATPase活性が活性化されるとFlhFに作用して(赤六角形)ATPの加水分解と共にFlhFを不活性化する。ADP結合型となったFlhG(ピンク丸)と不活性化したFlhFは極から離れる。このようなサイクルを通してFlhGは極に存在するFlhFの分子数を調節し、べん毛本数を1本に制御していると考えている。

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