論文紹介

第26回論文紹介(2016.1更新)

グループ名
動物器官機能学グループ
著者

竹内未紀、山口信悟、米村重信、垣口貴沙、佐藤良勝、東山哲也、清水貴史、日比正彦

タイトル(英)
Type IV Collagen Controls the Axogenesis of Cerebellar Granule Cells by Regulating Basement Membrane Integrity in Zebrafish
タイトル(日)
ゼブラフィッシュにおいてIV型コラーゲンは基底膜の整合性を保つことで小脳顆粒細胞の軸索形成を制御している
発表された専門誌
PLoS Genetics 11(10), e1005587, 2015.

顆粒細胞は小脳の主要なグルタミン作動性神経であり、顆粒細胞の軸索形成は小脳神経回路形成の最初のステップである。ゼブラフィッシュの小脳においては、顆粒細胞は、細胞体の位置により前方内側と後方外側の二つのグループに分けることができる。後方外側の顆粒細胞の軸索は、小脳内でプルキンエ細胞とシナプスを形成した後、背側後脳に存在するクレスト細胞に軸索を投射する。ゼブラフィッシュ変異体shiomanekiにおいては、後方外側の顆粒細胞の軸索の走行異常を示す。我々は、ポジショナルクローニング法により、shiomaneki遺伝子座が基底膜の構成要素であるIV型コラーゲンCol4a6をコードすることを見出した。Col4a6とCol4a5は三量体を構成することが知られているが、col4a5およびcol4a6両変異体において顆粒細胞と網膜神経節細胞の軸索に関して類似の形成異常が認められた。これまで、IV型コラーゲンは軸索ガイダンス分子Slitの濃度勾配を調節することで軸索形成を制御するという説が提唱されてきたが、Slitを過剰発現しても顆粒細胞軸索に影響を与えなかった。col4a5およびcol4a6変異体では、軸索が走行する視蓋や背側後脳を囲う基底膜の構造異常が認められ、この異常に連動して軸索の走行異常が生じていた。顆粒細胞の軸索は、実験的に切断した後再生するが、col4a6変異体においては元の軸索と再生軸索が類似の走行異常を示した。以上の結果は、IV型コラーゲンは基底膜の整合性を保つことで、顆粒細胞の軸索形成を制御していること、基底膜は顆粒細胞の軸索に標的に導くための正しい経路を提供していることを示している。これらの知見は、ヒトのIV型コラーゲン変異の遺伝病であるアルポート症候群の病態解明に役立つ可能性がある

図1:

IV型コラーゲン遺伝子col4a6は小脳後方外側の顆粒細胞の軸索形成に必要である。(A-D)野生型(WT)とshiomaneki変異体(siork18/rk18)の受精後5日目の稚魚を、顆粒細胞の軸索マーカーであるVglut1抗体で染色したもの(小脳背側像)。(E,F)小脳顆粒細胞を顆粒細胞特異的Gal4系統で可視化した像。(G)野生型とshiomaneki変異体の顆粒細胞軸索走行の模式図。shiomaneki変異体では、小脳後方外側の顆粒細胞の軸索走行に異常を示す。(H-L)shiomaneki変異体の責任遺伝子はcol4a6遺伝子である。shiomaneki変異体では、42番目のエキソンの3’側のスプラインシングドナーに変異があり正常なスプライシングが起きず、C末端を欠損したタンパク質をコードしている。

図2:

col4a6変異体において基底膜異常と顆粒細胞軸索走行異常は連動している。(A-H)野生型およびcol4a6変異体(shiomaneki変異体)の、基底膜をLaminin-1抗体で、顆粒細胞軸索を顆粒細胞特異的Gal4系統を用いて可視化(GFP)している。背側後脳の背側像。(I,J)抗体染色の結果を模式図で示している。col4a6変異体においては、基底膜が分離している部分があり、同じ場所で顆粒細胞の軸索束も分枝し、異常な基底膜に並走する形で走行異常を示している。

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