論文紹介

第26回論文紹介(2016.1更新)

グループ名
分子神経生物学グループ
共同研究グループ
名古屋大学大学院医学系研究科 貝淵弘三研究室グループ
著者

小林 曉吾、中野 俊詩、天野 睦紀、坪井 大輔、西岡 朋生、池田 真吾、横山 源太、貝淵 弘三、森 郁恵

タイトル(英)
Single-Cell Memory Regulates a Neural Circuit for Sensory Behavior
タイトル(日)
感覚行動の神経回路を制御する単一神経細胞記憶
発表された専門誌
Cell Reports・14・11-21・2016

線虫C. elegansの温度受容細胞であるAFDニューロンは、興味深いことに、15℃で線虫を飼育した場合は15℃付近の温度刺激に応答し、また25℃で飼育した場合は25℃付近の温度刺激に応答する。このことからAFDニューロンは温度を感知するだけでなく、感知した温度を自身で記憶している可能性が示唆されていた。しかし、AFDニューロン以外の細胞が、シナプス接続や神経内分泌因子を介して温度記憶の成立に寄与している可能性を排除できないことから、既存の実験系では神経細胞単独での記憶形成を検証することが困難であった。
 そこで本研究では、AFDニューロンの初代培養系を確立し、AFDニューロンを他の細胞から完全に隔離した条件下で温度記憶が形成されるか検証を行った。具体的には、GCaMP3がAFDニューロン特異的に発現する線虫系統を樹立し、その系統の個体群から胚細胞を単離してAFDニューロンの初代培養系を確立した。次に、初代培養AFDニューロンが、培養温度を記憶するかを、カルシウムイメージングで検証したところ、培養温度依存的な温度応答が観察された(図1)。この結果は、AFDニューロンにおける記憶形成は、他の細胞との相互作用を必要としないこと示しており、多数のニューロンが協調的に相互作用することで記憶・学習が成立するという、これまでの記憶・学習のパラダイムに全く新しい視点を与えるものである(図2)。

図1:AGPの模式図とHPGTの修飾部位

図2:

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