論文紹介

第22回論文紹介(2014.1更新)

グループ名

超分子機能学講座 生体膜研究グループ

著者
高橋知嘉、野村典正、横山泰範、滝口陽子、本間道夫、滝口金吾
タイトル(英)

Multiple membrane interactions and versatile vesicle deformations elicited by melittin

タイトル(日)

蜂毒由来のペプチドであるメリチンが持つ多才な膜小胞変形変換能力

発表された専門誌

Toxins・5・637-664・2013

ミツバチの溶血毒の主成分であるメリチンは、26残基からなる両親媒性ペプチドで、その単純な構造ながら様々な反応を脂質二重膜に生じさせる。この理由から、メリチンと膜との相互作用については古くから非常に多種多様な研究が行われて来た。しかしこれまでは、個々の脂質二重膜にメリチンが引き起こしている変化をリアルタイムで観察し議論している研究はなかった。一方我々のグループは、蛋白質、ペプチドなどが膜に与える影響を、暗視野顕微鏡を使って直接観察することによって研究している。この実験系の利点は、リアルタイムで膜に生じている現象をイメージングし理解できることにある。本研究では、まずメリチンが膜に引き起こす様々な現象をイメージングの結果を基に分類し(図1)、その分類に沿って結果を円偏光二色性測定、共沈実験、電子顕微鏡観察などから得られた情報と比較することによって、メリチンがどのような二次構造を取り、どんな結合を膜としている時に、膜がどのような変化を示すかを対応付けることに成功した。得られた知見は、生体膜の基本構造となる脂質二重膜がペプチドの様な生体因子とどのような相互作用を行うことによってその動態や形態を変えるか(図2)、その機構を知る上で重要な手がかりを与えてくれるものである。

図1:

図2:

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