論文紹介

第20回論文紹介(2012.10更新)

グループ名
植物生理学グループ
著者
Masaki Okumura, Koji Takahashi, Shin-ichiro Inoue, Toshinori Kinoshita
タイトル(英)
Evolutionary appearance of the plasma membrane H+-ATPase containing a penultimate threonine in the bryophyte
タイトル(日)
植物の陸上への進出に伴う新型プロトンポンプの出現
発表された専門誌
Plant Signaling & Behavior, 7, 979-982

細胞膜プロトンポンプ(H+-ATPase)は、ATPの加水分解エネルギーを利用し、細胞外へのH+の能動輸送を行う植物に必須の一次輸送体である。近年の研究から、陸上植物の進化的基部に位置する苔類ゼニゴケでは、維管束植物で知られているC末端から2番目にThrをもつpT H+-ATPase(penultimate Thr-containing H+-ATPase)と、緑藻類が持つnon-pT H+-ATPaseの両方が存在していることが明らかとなった(Okumura et al. Plant Physiol. 2012)。そこで、本論文では、モデル植物として広く扱われている鮮類ヒメツリガネゴケや、緑藻類とコケ類の間に位置する車軸藻類シャジクモを用いてH+-ATPaseの解析を行った。その結果、ヒメツリガネゴケにはゼニゴケと同様にpT H+-ATPaseとnon-pT H+-ATPaseの両方が存在し、pT H+-ATPaseはC末端のリン酸化を介した制御が行われていることが明らかとなった。また、シャジクモを用いた免疫学的解析から、シャジクモはpT H+-ATPaseを持たないことが示唆された。これらの結果から、pT H+-ATPaseは植物が陸上に進出する過程で出現したものと考えられ、コケ植物におけるpT H+-ATPaseの生理的役割の解明が待たれる(図1)。

図1:

植物の系統樹とプロトンポンプの構造
藻類ではnon-pT型、維管束植物ではpT型、コケ植物では、non-pT型とpT型の両方を持つことが明らかとなり、植物の陸上への進出の過程でpT型プロトンポンプが出現したと考えられる。

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