論文紹介

第9回論文紹介(2007.6更新)

グループ名
分子遺伝学 時間生物学
著者
谷口靖人,片山光徳,伊藤りえ,高井直樹,近藤孝男、小山時隆
タイトル(英)
labA : a novel gene required for negative feedback regulation of the cyanobacterial circadian clock protein KaiC
タイトル(日)
シアノバクテリアの概日時計蛋白質KaiCの負のフィードバック制御に必須な新規遺伝子であるlabA
発表された専門誌
Genes & Development, 21(1): 60-70 (2007)

シアノバクテリアは概日時計を保持しており、その概日基本振動は3つの時計タンパク質、KaiA、KaiB、KaiCによって形成される複合体の連続的な結合及び解離によって生成されると考えられている。この時間情報はKaiCと結合する二成分制御系のヒスチジンキナーゼであるSasAを介して転写因子RpaAに伝達され、そのリズミックな活性化が、グローバルな転写振動を生むと考えられている。しかし一方で、KaiCは発現量依存的に自身を含む概日遺伝子発現を抑制する活性も持ち(負のフィードバック制御)、これのメカニズム及び生理学的意義は不明であった。今回、我々はこのKaiCの負のフィードバック制御に必須な新規遺伝子、labAを同定した。labA の破壊により、KaiCの過剰発現によるkaiBC に対する転写抑制が完全に阻害され、加えて概日遺伝子発現のリズムの谷のレベルが上昇し低振幅化した。一方labAの過剰発現は概日遺伝子発現を発現量依存的に抑制した。また遺伝学的な解析から、LabAはRpaAの上流で機能する事が示唆された。さらに、labA変異は、sasA 変異株の概日遺伝子発現の低振幅、短周期等の様々な表現型を抑圧した。これらの事から、LabAはKaiCの下流で機能し、KaiCの蓄積量の変化に従ってRpaAの活性を抑制し、主に主観的夜に概日遺伝子発現を抑制する因子であると考えられる。

図1:

labA 遺伝子はKaiCの過剰発現によるkaiBCの転写抑制に必須である。シアノバクテリアSynechococcus elongatus PCC 7942に、kaiBC プロモーターの下流に生物発光遺伝子luxAB を連結した発光レポーターカセット (PkaiBC::luxAB) を導入し、そのプロモーター活性を生物発光で観察できる株を構築した。これにIPTGによりKaiCの発現を誘導誘導できるカセットを導入し(Ptrc::kaiC)、IPTG存在下もしくは非存在下で生物発光を測定した (それぞれ赤もしくは黒のトレース)。

図2:

概日基本振動と転写翻訳のフィードバックループがカップリングしたシアノバクテリアの概日時計システムにおけるLabAの機能モデル。LabAはKaiC (おそらくはリン酸化型KaiC) の蓄積量に従って主に主観的夜にRpaAの機能を抑制し、転写を負に制御すると考えられる。

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