論文紹介

第9回論文紹介(2007.6更新)

グループ名
生体調節論 生体応答論
著者
梶野泰祐、Hong Ren、家村俊一郎、夏目徹、Bjarki Stefansson、David L. Brautigan、松本邦弘、辻順
タイトル(英)
Protein phosphatase 6 down-regulates TAK1 kinase activation in the IL-1 signaling pathway.
タイトル(日)
PP6によるIL-1シグナル依存的なTAK1のキナーゼ活性の負の制御機構
発表された専門誌
Journal of Biological Chemistry・Vol. 281・No. 52・page 39891-39896・2006年

TAK1はセリン/スレオニンキナーゼであり、免疫性サイトカインIL-1シグナルにおいて必須の働きをしている。細胞が刺激を受けとるとTAK1は自身の活性化ループ内の187番目のスレオニンを自己リン酸化し活性化する。このTAK1の活性化は一過的で、5-10分以内に急速に不活性化される。しかし、TAK1がどのようにして不活性化されているのか、その分子機構は明らかになっていない。本研究ではTAK1の187番目のリン酸化を指標とし、TAK1の活性を負に制御する機構の解明を目指した。その結果、PP2Aファミリー特異的阻害剤によってIL-1刺激依存的なTAK1のリン酸化が促進されることを見出した(図1上)。これはPP2AファミリーがTAK1のリン酸化を負に制御していることを示している。そこでTAK1と結合する因子を探索した結果、PP2Aファミリーに属するPP6が単離された。PP6がTAK1の負の制御因子として働くか検討したところ、PP6を過剰発現した細胞ではTAK1のリン酸化が抑制され、逆にPP6の発現をsmall interfering RNA (siRNA)を用いて抑制した細胞ではIL-1依存的なTAK1のリン酸化が顕著に促進されることを明らかにした(図1下)。これらの結果は、PP6がTAK1を脱リン酸化することによりIL-1依存的なTAK1の活性化を適切に制御していることを示唆している(図2)。

図1:

(上)PP2Aファミリー阻害剤によるIL-1依存的なTAK1のリン酸化の促進細胞を各阻害剤で前処理した後IL-1で5分間刺激した。その後TAK1とリン酸化TAK1を各抗体で検出した。IB: immunoblotting、DMSO: dimethyl sulfoxide (control)、TM: tautomycin (PP1 inhibitor)、OA: okadaic acid (PP2A inhibitor)、CyA: cyclosporine A (PP2B inhibitor)、CA: calyculin A (PP1 & PP2A inhibitor)、EtOH: ethanol (control) (下)PP6の発現抑制によるIL-1依存的なTAK1のリン酸化の促進 PP6の発現を2種類の異なるPP6 siRNAを用いて抑制し、IL-1で刺激した。その後、TAK1のリン酸化をIBにより検出した。IB: immunoblotting、siRNA: small interfering RNA

図2:

モデル図

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