論文紹介

第1回論文紹介(2003.4更新)

グループ名
大学院理学研究科付属臨海実験所 発生生化学
著者
澤田 均、酒井直行、阿部勇吉、田中悦子、高橋陽子,藤野淳子、瀧澤 聡、横沢英良
タイトル(英)
Extracellular ubiquitination and proteasome-mediated degradation of the ascidian sperm receptor.
タイトル(日)
ホヤ精子レセプターの細胞外ユビキチン化とプロテアソームを介した分解
発表された専門誌
Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99: 1223-1228 (2002). [PubMed]

転写因子や癌抑制遺伝子産物など多くの細胞内タンパク質は、分子量8.5Kのユビキチンと呼ばれるタンパク質の修飾を受けた後に、26Sプロテアソームと呼ばれる巨大タンパク質分解酵素複合体によってATP依存的に分解される。今まで、この経路は細胞内で起こる経路しか知られていなかったが、本論文では、原索動物マボヤの受精過程においては、細胞外で機能していることを報告している。ホヤ類は、一般に雌雄同体であるが、マボヤでは自家受精はおこらない。それは、精子が卵黄膜上の精子レセプターに結合する段階で、種と個体を識別しているからであると考えられている。本論文では、マボヤ卵黄膜上の70kDaの主要タンパク質(HrVC70)が12回のEGF(上皮細胞成長因子)様リピート構造を有しており、それが精子レセプターとして機能すること、さらにこの分子は、受精時に細胞外でユビキチン化された後に、精子プロテアソームによって分解されることを明らかにしている。哺乳類では、精子トリプシン様酵素であるアクロシンが、卵透明帯(卵黄膜)に精子通過口を開けるライシンであると永年信じられてきたが、そのノックアウトマウスでも受精することから、真のライシンの解明が望まれていた。本論文は、細胞外ユビキチン-プロテアソーム系がライシンとして機能することを示すものであり、ライシン系の新しい概念を提唱している。

図1:

マボヤの受精の模式図:精子はアクロシンやスペルモシンの助けを借りて卵黄膜上の精子レセプターVC70に結合する。そこで非自己であると認識されるとVC70のユビキチン化が起こり、精子プロテアソームによって分解され、精子通過口が開けられる。

※詳しい内容は大学院理学研究科付属臨海実験所 発生生化学

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