論文紹介

第1回論文紹介(2003.4更新)

グループ名
形態統御学 植物発生学
著者
征矢野敬、西浜竜一、森清佳代子、石川雅樹、町田泰則
タイトル(英)
NQK1/NtMEK1 is a MAPKK that acts in the NPK1 MAPKKK-mediated MAPK cascade and is required for plant cytokinesis.
タイトル(日)
NQK1/NtMEK1 は、植物の細胞質分裂を制御し、NPK1 MAPKKKが関与している MAP キナーゼカスケードの MAPKK として機能している
発表された専門誌
Genes & Development 17(8):1055-67. (2003) [PubMed]

昨年、私たちは、キネシン様タンパク質 NACK1 とプロテインキナーゼ NPK1の複合体が、植物の細胞分裂の最終段階である細胞質分裂に必須であることを見いだしました(前出の論文)。NPK1 は、種々の特徴から、MAPキナーゼカスケードと呼ばれているタンパク質リン酸化反応の連鎖の中に位置している MAPKKK であると考えられていました。通常、このカスケードは、MAPKKK → MAPKK → MAPK とリン酸化が進みます。そこで、本論文では、タバコのある種の MAPKK が NPK1(MAPKKK)の基質になると考え実験をデザインしました。具体的には、酵母の MAPKK の変異体を用いて、その機能を補うことができるタバコの MAPKK を探索しました。その結果、一つのMAPKK が同定、単離されました。この MAPKK タンパク質は、 NPK1 によりリン酸化されました。さらにこの MAPKK の機能が無くなる操作をすると、NACK1 や NPK1 の機能を阻害した時と同様、不完全な細胞板が形成され、多核化した細胞になりました(図1A)。したがって、この MAPKK は、NPK1 の下で働き細胞板形成を促進していることがわかりました。私たちは、この MAPKK を NQK1 と名付けました(図2)。この論文では、さらに、NQK1 のシロイヌナズナホモログ(ANQ1)の変異体も分離し、表現型を解析しました。その結果、anq1 の個体は成長が悪く、組織の中には所々に不完全な細胞板をもつ多核化した細胞が見られました(図1B)。以上から、NPK1 の下には、NQK1 が存在し、ともに細胞板形成を制御していることがわかりました(図2)。すでに、NQK1 の下に NRK1 と名付けた MAPK が存在することを示しましたが、今のところ、このキナーゼが細胞質分裂に関わっているという証拠は得られていません。これは、次の重要な研究課題であり、さらにその下にどのような標的分子が存在するかを解明することが重要になっています。

図1:

図2:

※詳しい内容は形態統御学 植物発生学

カレンダー

今後の予定


pagetop