論文紹介

第1回論文紹介(2003.4更新)

グループ名
形態統御学 植物発生学
著者
西浜竜一、征矢野敬、石川雅樹、荒木智史、田中博和、浅田哲弘、入江賢児、伊藤真弓、寺田瑞弥、坂野弘美、山崎良子、町田泰則
タイトル(英)
Expansion of the cell plate in plant cytokinesis requires a kinesin-like protein/MAPKKK complex
タイトル(日)
植物細胞における細胞板の形成には、キネシン様タンパク質・MAPKKK の複合体が必要である
発表された専門誌
Cell 109, 87-99 (2002)[PubMed]

私たちは、一昨年、植物(タバコ)の細胞が分裂する際の最終ステップにタンパク質リン酸化酵素NPK1が必要であることを報告しました。本論文では、NPK1 に結合し、それを活性化するキネシン様タンパク質 NACK1を見つけました。また、NACK1 は、 NPK1 を細胞の分裂装置に運ぶ役割を担っていることがわかりました。一般に、細胞は細胞分裂のための規則正しいプロセス(細胞周期)が繰り返されることにより増えます。地球上には、種々の生物が生存していますが、細胞周期には似ている面があります。しかし、細胞周期の最終段階である一つの細胞が二つの娘細胞になる細胞質分裂と呼ばれているプロセスは、動物と植物では異なるように見えます。例えば、動物細胞では、分裂する部分がだんだん絞り込まれ、引きちぎれるようにして、二つの細胞になります。しかし、植物細胞の場合には、細胞の中央部分に小さな仕切りが出来はじめ、やがてそれが細胞の周辺部分に広がって行き、細胞が二つの部分に分かれます(図1参照)。

図1:

この仕切りは「細胞板」と呼ばれ、微小管(図1の緑の部分)などからなる複雑な分裂装置の働きにより作られることがわかっていましたが、どのような因子がこのような細胞板形成を制御しているのかはまったくわかっていませんでした。私たちは、すでに、NPK1 の機能が無くなると、細胞板が形成されずに、核分裂だけが進行し細胞が肥大化することを報告してきました。今回、NACK1の機能が無くなった場合にも、細胞に同様な異常が観察されました(図2参照)。このことから、活性型のNPK1とNACK1の複合体が分裂装置に存在し(図1)、細胞板形成を促進していることがわかりました。

図2:

カレンダー

今後の予定


pagetop