生体調節論講座 Laboratory of Cell Regulation
生体機序論グループ Group of Signaling Mechanisms
- 教授
- 久本 直毅線虫をモデル動物とした個体レベルでのシグナル伝達機構
- 准教授
- 花房 洋哺乳動物細胞を用いたシグナル伝達機構解析
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研究の概要
生物は内外の環境からさまざまな刺激(シグナル)を受け取り、それに応じた適切な応答を行うことにより、細胞増殖・分化・ 発生・再生などのさまざまな生命現象を制御しています。このようなシグナルを生命現象に結びつけるしくみをシグナル伝達機構と呼び、生命現象の理解に欠くことのできないものとされています。本研究室では、線虫および動物細胞を用いて、切断された神経軸索の再生を制御するシグナル伝達機構や、細胞増殖におけるシグナル伝達機構の解析を行なっています。
線虫をモデル動物としたシグナル伝達機構
線虫C. elegans は、土壌中で微生物を食べる体長1-2mmの動物です。ヒトを含む哺乳動物と相同な遺伝子を数多く持ち、しかも遺伝学的・分子生物学的解析が容易なため、モデル動物として近年脚光を浴びています。当研究室では、線虫からヒトまで共通して存在するシグナル伝達関連の遺伝子群に着目し、線虫をモデル動物としてそれらを解析することにより、種を越えて保存されたシグナル伝達機構の解明を試みています。特に、切断された神経軸索の再生機構に焦点を当てて研究しており、それがどのような因子により、どのようなシグナル伝達機構を介して制御されているのか、 遺伝子から個体まで統合的に理解することを目指しています。さらにその研究を通じて、脊髄損傷など神経の切断により起こるさまざまな疾患を治療する方法を開発するための礎となることを目指しています。
哺乳動物細胞においてLRRK1の関わる情報伝達機構
LRRK1は、パーキンソン病原因遺伝子LRRK2のファミリー分子であり、Ras様GTPaseドメインとMAPKKK様キナーゼドメインをもつユニークなキナーゼです。私たちはこれまでに、LRRK1がEGF受容体(EGFR)の細胞内トラフィックを制御することや、細胞周期においてM期染色体分離に機能していることを見出しました。現在LRRK1のキナーゼ活性がどのように制御されているのか、またEGFR細胞内トラフィックやM期染色体分離など、それぞれの現象のなかでどのような基質をリン酸化し制御しているのか解析を進める予定です。
References
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今後の予定