
ヘビ飼育のススメ

もしあなたがペットとしての爬虫類の飼育を検討しているのならばヘビの飼育を勧めます。理由は簡単です。ヘビが飼育に最も適した爬虫類なのです!! ヘビほど飼育が簡単な爬虫類はいません!! それにカメやトカゲの多くは屋外で、太陽光線の下で飼育した方が健康状態がよく、幸せだけど、ヘビは室内飼育で100%健康を維持できます。だから、爬虫類を飼い始めるのならばヘビを飼おう!!
簡単に紹介するとヘビには以下の利点があります。
- ハンドリングが出来る:ペットを飼う以上は手に持ったりしたいものです。カメなら問題ありませんが、殆どのトカゲはハンドリングに向かない、もしくはその際には注意が必要です。フトアゴヒゲトカゲは例外ですけどね。ヘビの種類によっては、ハンドリングできないものもいますが、ここで勧めるナミヘビの仲間ならば大抵慣れます。キングスネーク、コーンスネークの仲間が特にお勧めです。
- 生きた餌を必要としない:リクガメなら新鮮な野菜、小型-中型のトカゲならば生きた昆虫の餌が必要ですが、冷凍のネズミだけで十分です。いろいろな種類の餌を準備しておく必要がないし、長期保存が効くので時々仕入れればよく、毎週専門店に出かけて生き餌を購入するような必要性がありません。
- 餌にカルシウムやビタミンの添加を必要としない:爬虫類はその代謝特性からカルシウム欠乏症になりやすいのです。屋外では日光浴をすることでこの問題が回避されてますが、室内ではカルシウムやその代謝に必要な一部ビタミンを補給する必要があります。また、その量や種類、配合は爬虫類の種類によって異なります。幸い、ヘビは
- 紫外線などの特殊な照明を必要としない:上に書いたように大部分の爬虫類はカルシウム代謝に日光浴が不可欠であり、室内飼育ではB型紫外線(UV-B)を照射する爬虫類専用の蛍光灯を使います。リクガメ、ミズガメ(大部分)、イグアナ、カメレオン、フトアゴヒゲトカゲ、アガマなどの人気種はみんなUV-Bが必要です。その点、ヘビは紫外線を全く必要としません。
- 特殊な飼育容器を必要とせず、場所を取らない:体長1メーター前後までのナミヘビならば40センチのプラケースで飼育できます。
- 温度管理が簡単である:25℃前後の飼育温度が理想ですが、小型の底面ヒーターがあれば充分です。ヘビは他の爬虫類に比べると高温、低温に対して強い。
- 臭いが少なく、清潔である:どのペットも生きている以上は多少の臭いがしますが、爬虫類は他の動物に比べると臭いが少ないと言われてます。中でも乾燥条件で飼うヘビは臭いが少なく、比較的清潔です。
- 世話に時間がかからない:ヘビは2日に一度水を交換し、週に1-2度給餌し、月に1-2度掃除すれば大丈夫である。だから慣れれば、週に1時間程度の空き時間があれば飼育できます。
- 一週間程度の期間なら放置できる:水さえあれば、ヘビは一週間や10日程度ならば世話しないで置いておけます。旅行や出張の多い人には最適です。
- 自然保護上の問題、密輸などの問題が殆どない:販売されているナミヘビの殆どは養殖個体なので自然保護上の問題は少なく、密輸の問題は生じない。
上記の条件を満たす爬虫類は私の知る限りヘビ以外には一部の小型のドロガメしかいません、ほかの両性爬虫類の飼育経験がある方ならば、そういう性質を持ち合わせたヘビのありがたさが判ると思います。もちろん、中には特殊ヘビもいて、飼育が難しいものもいますが、普通「ナミヘビ」と呼ばれているものなら大丈夫です。
ヘビ飼育の最大の問題:冷凍マウス
ぼく自身がヘビを飼い始めて一番抵抗があったのは餌の冷凍マウスです。まず、餌のマウスが結構気持ち悪いので、それを扱うのに多少抵抗があります。でもこれは案外簡単に慣れるもので、うちの妻もヘビに触ることはしなくっとも、餌を食べるところは面白がって見ます。
もう一つの問題はその冷凍マウスの保存で普通の家庭の食料と一緒に冷凍庫に入れることになります。マウスをビニール袋に入れ、それをさらにタッパー容器に入れれば、普段意識することはそれほどありません。マウスからの病気の感染は全くありえないことではないけど、危険性としては普通のペット程度で聞いたことがありません。どうしても、こういうことの抵抗がある人は毎週餌を買ってくるという手もあります。
飼育に適したヘビの種類
ズバリ、お勧めしたのはコーンスネーク(以下コーン)かカルフォルニアキングスネーク(以下キング)の2種類です。魅力的なヘビは他にも沢山ありますが、総合的にみて初心に最も適していて、かつマニアでも飽きることがないのがキングとコーンです。2種は飼育が簡単で丈夫な上、性質も温和で奇麗な品種が沢山存在します。さら、値段も手ごろでどこの専門店でも扱ってます。特にコーンスネークは性質がおとなしく、ハンドリングに向く。
ヘビ飼育で一番大事なこと:信頼できる専門店を見つけること
ヘビの飼育では状態のいいヘビを入手することが重要です。そのためには信頼できる専門店で買うことが一番よく、多少価格が高く感じても結果的には経済的です。評判のいいショップはインターネットのMLで尋ねるといいでしょう。ホームセンターのペットコーナーなどで堀り出し物をみかけることがありますが、その状態を見極めることのできない初心者は避けるべきです。専門店で買った個体なら後ほど状態が悪くなったら原因や対策について親切に指導してくれますが、ペットコーナーではそういう専門知識は期待できません。あと余談ですが、ぼく自身はお店との関係を大切にしているのでいろいろなお店にいくことはせず、一番信頼できるお店だけに通い、欲しい種類がない場合は他で探すことをせずに時間がかかっても入荷を待ちます。なお、知らない専門店に飼育相談するときは来店するのが礼儀であり、電話では話がうまく伝わらないことが多い。
どの程度の予算が必要か?
- ヘビの値段:品種と大きさによりますがコーンスネークならば(98年11月現在)0.8-3万円、カルフォルニアキングスネークならば1-4万円が目安です。高いのは珍しい品種で入荷を待てば安くって奇麗な個体はみつかります。
- 飼育容器容器:1500から1万円。安く済ませたければ大型のプラケースか小型のロック機構付き衣装ケースがよく、折角のペットを格好よく飼育したいのなら専門店で売っているアクリルもしくはガラス製の専用ケースがあります。
- 保温器:2000-3000円。10ワット弱の遠赤外線下敷きヒーターならこの値段で買えます。
- 床材:0-1000円。新聞紙を使えば0円、専用の床材(吸水性木くず)なら1袋(2-3か月分)1000円弱。
- 水皿:0-500円。家にある小皿なら0円、自然の石を模した専用水皿(ロックボールという)なら500円。小鳥用の水皿が案外いい(200円)。
- 隠れ家:0-1000円:ボール紙で自作すれば0円、専門店で売っているプラスチック製の洞窟やコルク樹皮ならば800-1000円。
- 餌用冷凍マウス:300-500円/月
必要経費の大部分はヘビ自身の値段で、あとは節約すれば数千円で済む。ただし、初めてのヘビならば一匹を大事に飼うわけですから、専用ケースぐらい買って、見栄えのする飼い方をしたいものです。全部で3-4万円準備すれば気に入ったヘビを気に入った方法で飼育できます。
どの程度手間がかかるか?
ペットであるわけですから毎日様子を見てあげたいものですが、2-3日に一度水皿を洗ってあげて、週に1-2度餌を与えればいいわけですから殆ど手間がかからない理想のペットです。あとは月に1-2度掃除が必要ですがこれは10分か20分で終わります。
飼育の実際(ナミヘビ)
ここでは初心向きであり、キングとコーンに対象を絞って説明しますが他のタイプのナミヘビ(ラットスネーク、パインスネーク、ゴファースネーク、ミルクスネーク、マウンテンクングスネークなど)やシシバナヘビもほぼ同じ方法で飼育できます。尚、飼育方法に選択肢がある場合は、初めて飼育する人が迷わないように代表的な1つ2つだけを紹介しています。もっと詳しく検討した人は英語の専門書などを調べてください。
- 容器:低面積が20x30cm以上あれば1m前後までのヘビは飼育できる。大型のプラケース、ロック機構のある小型の衣装ケースに通気穴を開けたものなどが経済的である。また、熱帯魚水槽に動物飼育用の網蓋を載せても構わない(合わせて5000円ぐらい、但し脱出防止用に重しが必要)。一番お勧めは使いやすさや見栄えの良さからガラスまたはアクリル製の専用ケース(8000-1万円)ですが、予算が不足する場合はとりあえず最初はプラケースで飼うのもいいかもしれません。ただ、プラケースでもなんでも、注意しなければいけないのはヘビが脱出の名人であることです。きちんとしたロック機構がない限り、蓋には重石などして脱出を防ぐべきです。
- 照明:鑑賞目的以外で照明する必要はない。
- 保温:下敷きタイプの遠赤外線ヒーターで飼育容器の底面の1/3程度の面積を10月から5月までの寒い時期は加温する。ヘビは体が暖まらないと食物を正常に消化することができなくなるからである。また、容器の一部だけ加温するのはヘビが涼しいところと暖かいところを選んで移動できるようにするためである。実際、自然界でもヘビはそうして体温調節をしている。飼育してみると、ヘビは加温部分と無加温部分の境界で寝ていることが多い。お勧めのヒーターはイギリス製のウルトラサーム9W, 15x18cm 2800円(ドーエングループ 03-3576-2095)かピタリ適温1号 7W 15x18cm 2800円 (みどり照会03-3929-4441)。後者にはサーモスタットが内蔵されているが、前者は造りが丈夫なので個人的に好きである。
- 床材:新聞紙を週に一度交換するのでも構わないが、その下に潜り込、床材としての役割を果たさないことが多い。砂利や砂は不適当で専用のチップがお勧めである。マウス、ハムスター用のものは揮発樹脂成分があったり、餌と一緒に飲み込んだ場合によくないと言われている。ESU社のリザードリター(4リッターで1000円)を使っているが、これならば吸湿性がよく月に1-2度交換すれば充分である。
- 水皿と給水:なんでもいいけど、ヘビがひっくり返さないような重さがあり、床材があまり入らないぐらいの壁の高さがあるものが良い。ロックボールは格好いいが、洗いやすさなどの機能性からいえば、小鳥の水皿がいい。水は2-3日に一度、奇麗なものと交換し、水皿はケースの無加温部分に置く。
- 隠れ場所:プラスチック製の洞窟や陶器の壷などでもよいが、軽量で事故の少ないコルク樹皮片がお勧めである。とぐろを巻いたヘビの4-5倍の大きさがあればよく、ケースも加温部分の境界に置く。
- 掃除:飼育セットアップが簡素なこともあり、他の爬虫類比べると掃除は簡単です。床材にチップを使っていれば、1月に一度ほど、全部捨てて、あとは残っている糞を濡れティッシューで拭き取り、新しいチップを敷きます。あと水皿の汚れも落とせば終了です。特に汚い時はケースを風呂場に持っていき、熱いシャワーで洗います。掃除中はケースの住人は屑篭にでも入れて、雑誌でも載せておけばおとなしくしてます。
給餌
餌の量とタイミングがヘビ飼育の中で一番経験を必要とする部分ですが、原則的には一年目のヘビで週に2回、2年目以降のヘビで4-5日に一度、ヘビの頭部の長さの2-3倍ぐらいの体長のマウスを与えればいいです。慣れてくれば、決まった間隔で餌を与えるのではなくヘビの行動や反応を観察して餌のタイミングや量を決めればいい。餌を食べたヘビはそれを消化している間はあまり動き回らないので、お腹が空いて盛んに動き回るようになったら与えるのも一つの方法です。糞をするのを見届けて餌を与える方法もあります。あまり大きい、飲み込みにくい餌をあたえると次回から食反応が悪かったり吐き戻したりしますので、不安な時は小さ目の餌を与えてください。また、多く食べさせたい時は、大きい餌ではなく小さいマウスを複数あたえてください。あと、脱皮前には拒食する個体が多いことも覚えていてください。
マウスの成長段階応じた呼び方
- ピンク:毛の生える前のマウス。
- ファジー:産毛が生えているけど、目が開いていないマウス
- ホッパー:目が開き、盛んに飛び跳ねる時期のマウス
- マウス:成体マウス
あと、マウスの解凍はぬるま湯にいれるか、ライトで暖めるなどして行いますが、電子レンジだけは使用しないでください。破裂するという話です。
脱皮
爬虫類は成長に伴い、脱皮します。脱皮前には皮の艶がなくなり、目も白く曇る場合が多い。ヘビは不活発になり、餌を受け付けない場合があります。また、こういう時は神経質になっているのでハンドリングは避けるべきである。特に何もしなくとも待っていれば、ヘビは脱皮し、食欲も回復するので心配することはない。
冬眠
自然界ではキングやコーンは冬眠しますが、ヘビを冬眠させなければいけないことはありません。特にその年に生まれた幼いヘビは冬眠させると失敗することがありますので、冬のあいだも加温し、冬眠させないのが無難です。成体のヘビを翌春に発情させるためには冬眠は不可欠なので、繁殖を狙う場合は必要ですが、通常飼育ではさせる必要がないのでここでは冬眠方法に関しては触れません。
病気など
正しく給餌、給水、保温、掃除すればヘビが病気になることは殆どなく、この点でも問題の少ないペットです。あまり心配はありませんが、ヘビ成り得る疾患と対策を以下に列挙しますので念のため参考にしてください。
- ダニや寄生虫:ダニや寄生虫は自宅で感染することはないので、信頼出来るショップでヘビを購入すれば問題になることはまずありません。万一、発生した場合は購入した専門店に相談しよう。
- 皮膚疾患:床材がいつも湿っている時、汚れている時に発生します。対策としては専用の床材を使用し、マメに交換しましょう。治療は専門店に相談し、治らない時は獣医に。
- 擦り傷:飼育容器の金網などが問題です。治療と対策は購入した専門店に相談しよう。
- 脱皮不全:一部のヘビは乾燥しすぎるとなる。コーン、キングでは心配ない。
- 卵詰まり:繁殖させない限り起こらないので通常飼育で心配することはない。起こった場合はすぐ獣医に。
繁殖:ヘビの繁殖は比較的簡単だと言われてますが、国内で実践している人は案外少ないのです。ここでは繁殖方法は紹介しないので雑誌や書籍で調べるか、MLかショップで尋ねてください。
ハンドリング
キングやコーンはハンドリングに向いている種類のヘビですが、中には噛みつくものや手にもつと暴れる個体がいます。これはその品種の性格やその個体のそれまでの飼育方法に依存しています。どの個体も辛抱強く対処すればやがて慣れますが、できれば始めからおとなしい個体を選びたいものです。これは専門店で普段世話している店員に聞くか、お店で実際手に取ればわかります。もし、その時おとなしければ、持ち帰ってもおとなしい公算が大きいし、そうでなくとも簡単に慣れる個体だと期待される。どのヘビも毎日、もしくは週に数回、手に持つようにすればすぐ慣れます。ヘビを扱うコツは体全体を支えてあげること、強く掴まないこと、抵抗した場合は深追いしかいで再度挑戦することです。
最後に
ここでキングスネークとコーンスネークに限定してその飼育方法を解説しました。最初にも書いたように、この2種がペットに最も適した爬虫類だと信じています。これは飼育者に取ってもヘビ自身にとっても幸いなことです。爬虫類飼育はひとつのブームになり、専門や専門誌もできましたが、全くの素人が上手に飼育できる種類はあまりいません。その反面、このページを読んで感じていただけたと思いますが、上記2種のヘビの飼育は手軽です。初めての爬虫類飼育を検討しているのであれば、是非挑戦していただきたい。あなたとヘビの長く楽しい付き合いの始まりになると確信します。
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END
