論文紹介

研究代表者

松永 幸大
馳澤盛一郎

所 属 東京理科大学理工学部
東京大学大学院新領域創成科学研究科
著 者

Kutsuna, N.*, Higaki, T.*, Matsunaga, S.*, Otsuki, T., Yamaguchi,M., Fujii, H. and Hasezawa, S. *These authors equally contributed to this work.
(朽名 夏麿、桧垣 匠、松永 幸大、大槻 知史, 山口 雅之, 藤井 博史 & 馳澤 盛一郎)

論文題目

Active learning framework with iterative clustering for bioimage classification.
(バイオ画像の分類のための反復的クラスタリングを用いた能動学習フレームワーク)

発表誌

Nat. Commun., 3, 1032.(2012)

要 旨

  遺伝子・たんぱく質などの分子レベルから、細胞内外の微細構造、細胞、組織、器官、個体、ひいては地球レベルまで、生命現象のモニタリングでは画像化(イメージング)技術が不可欠になっています。顕微鏡によるイメージング技術の発達にともない、近年、生物画像データの多様化と大規模化が進んでいます。しかし、多様なイメージング機器から得られる画像データは複雑なため、現状では、実務経験の豊富な限られた研究者の目視による画像分類が行われています。研究現場のこうした状況を改善し、さらに主観的判断を防止するためにも、データ の信頼性や再現性を維持した客観的な自動画像分類法の開発が求められていました。
 今回開発した生物画像の自動分類ソフトウエア「カルタ」はどんなイメージング機器にも搭載できる汎用性を持つことに加え、専門家の画像分類効率を格段に向上させます。カルタは、自己組織化マップ(SOM)による画像のクラスタリングを介して、専門家の意見を繰り返し学習することで、研究目的にあった的確な分類基準を自動的に検討します。クラスタリングに用いる特徴量は自由に入れ替えることが可能であり、遺伝的アルゴリズムを使用して最適な分類を達成した段階で自動的に検討作業を止め、その結果をコンピューター上に表示します。

図1.カルタを用いた自動分類法の概略
研究室HP 松永研究室HP http://www.rs.tus.ac.jp/sachi/
馳澤研究室HP http://hasezawa.ib.k.u-tokyo.ac.jp/zp/hlab/