研究代表者 |
関 原明
|
所 属 |
理化学研究所 植物科学研究センター
植物ゲノム発現研究チーム |
著 者 |
Jong-Myong Kim, Taiko Kim To, Motoaki Seki
(金 鍾明, 藤 泰子, 関 原明) |
論文題目 |
An Epigenetic Integrator: New Insight into Genome Regulation, Environmental Stress Responses and Developmental Controls by HISTONE DEACETYLASE 6.
(シロイヌナズナの脱アセチル化酵素HDA6は、ゲノム、ストレス応答および発生などの多面的な制御に機能するエピジェネティック因子である。) |
発表誌 |
Plant and Cell Physiology, 53, 794-800. (2012)
|
要 旨 |
ヒストンタンパク質のアセチル化は、真核生物におけるエピジェネティック情報の一つであり、ヒストンN末端の脱アセチル化は、遺伝子抑制や染色体構造変換に深く関与することが報告されている。シロイヌナズナのヒストン脱アセチル化酵素HDA6は、トランスジーンやトランスポゾンなどのジーンサイレンシングに機能することが知られているが、 その作用メカニズムについてはほとんど明らかになっていなかった。最近我々は、HDA6の直接標的領域において、HDA6がDNAメチル化酵素MET1と協調しながらジーンサイレンシングに機能することを報告した。またさらに、植物のゲノム維持、生長分化および環境ストレス応答などにおいて、HDA6が多面的な役割を持つことが明らかとなってきている。網羅的なHDA6機能の解明は、植物のみならず、真核生物におけるエピジェネティクスを介した生物学的プロセスのメカニズム解明に大いに役立つ。 このレビューでは、HDA6によるジーンサイレンシングメカニズムを解説するとともに、HDA6の機能とその生物学的意義を引き出す最近の研究動向に焦点を当てる。
図.シロイヌナズナのHDA6は、その脱アセチル化機能をもとに、様々な生命現象に関与する |
研究室HP |
http://labs.psc.riken.jp/pgnrt/ |