論文紹介

研究代表者

塚谷 裕一

所 属 東京大学大学院理学系研究科
著 者 Naoko Minamisawa, Mayuko Sato, Kiu-Hyung Cho, Hanako Ueno, Katsuaki Takechi, Masataka Kajikawa, Katsuyuki T. Yamato, Kanji Ohyama, Kiminori Toyooka, Gyung-Tae Kim, Gorou Horiguchi, Hiroyoshi Takano, Takashi Ueda and Hirokazu Tsukaya
(南澤直子、佐藤繭子、Cho Kiu-Hyung, 上野華子、武知克 彰、梶川昌孝、大和勝幸、大山莞爾、豊岡公徳、Kim Gyung-Tae, 堀口吾朗、高野博嘉、上田貴志、塚谷裕一)
論文題目 ANGUSTIFOLIA, a plant homolog of CtBP/BARS, functions outside the nucleus.
(CtBP/BARSの植物ホモログANGUSTIFOLIAは核の外で機能する)
発表誌

Plant Journal (in press) 
published online: 14 SEP 2011, DOI: 10.1111/j.1365-313X.2011.04731.x

要 旨   CtBP/BARS は動物界において非常に多岐にわたった機能を持ち、その細胞内局在も核内あるいはゴルジ小胞上と、端に異なる部位で働くことが知られている、謎の多い遺伝にファミリーである。植物のその唯一のホモログであるANGUSTIFOLIA (AN)は、従来の理解では転写共役因子ではないかとされてきたが、今回、ゼニゴケからそのホモログを単離したところ、核局在シグナル(NLS)を持っていないことが判明した。しかしシロイヌナズナのan-1変異体を相補できる。そこでシロイヌナズナのANについて、NLSをふくめ既知の推定機能ドメインに変異を導入して、an-1変異体の相補能を確かめたところ、NLS、Rb-結合ドメインなどいずれのドメインも相補能に影響しないことが分かった。そこで改めてANタンパク質の細胞内局在を精査したところ、核には局在せず、TGN上に局在することが判明した。またan-1変異体の細胞内小胞を電子顕微鏡で観察したところ、軽微ながら明確な形態異常が認められた。ANは動物のCtBP/BARSとも異なる植物固有の分子機能を有している可能性が高い。
図1.ANタンパク質はTGNの近くに局在する:緑の蛍光はAN-GFP融合タンパク質を示し、赤い蛍光は(a) ST-Venus, (b) XYLT-Venus, (c) VHA-a1-mRFPを示す。cis-およびtrans-ゴルジのマーカーに対してANはそのすぐ近くに存在するものの、共局在はしない(a,b)。しかしTGNのマーカー(c)の一部とは共局在が認められる。
研究室HP http://www.biol.s.u-tokyo.ac.jp/users/bionev2/jp/index-jp.html