論文紹介

研究代表者

田坂 昌生

所 属

奈良先端科学技術大学院大学

著 者

Ito J., Sono T., Tasaka M. and Furutani M.

論文題目

MACCHI-BOU 2 is Required for Early Embryo Patterning andCotyledon Organogenesis in Arabidopsis

発表誌

Plant Cell Physiol. 52(3): 539-552 (2011)

要 旨  植物の形態形成過程で植物ホルモンのオーキシンが果たす役割は大きい。このホルモンは極性輸送により器官や組織内で局所的な濃度差を生み出し、それによって局所的な転写調節を行う事で形態形成を調節すると考えられている。しかし、その分子機構はまだ未解明の部分が多い。我々は本論文で、シロイヌナズナを材料に地上部の形態形成異常を示すpinoid (pid) 変異株の新規エンハンサー変異株としてmacchi-bou 2 (mab2) を単離して解析を行った。mab2pid の単独変異株はそれぞれ芽生えで子葉の形態や数に弱い異常を示すが、2重変異株にすると子葉形成が完全に阻害される。mab2で胚発生過程におけるオーキシンの極性輸送は正常だが、オーキシン依存の局所的な転写に異常が生じていた。MAB2 はシロイヌナズナのMED13をコードしていた。このタンパク質は、種々の真核生物でRNA polymerase IIの活性調節に関わるMediator複合体の一員として転写調節に関与すると考えられている。これらの事実から本論文では、胚発生過程におけるオーキシンの形態形成に及ぼす影響,特に子葉形成に対する影響に関して考察を加えた。
研究室HP http://bsw3.aist-nara.ac.jp/keihatsu/dynamics/index.html