論文紹介

研究代表者 角谷徹仁 所 属 国立遺伝学研究所
著 者 Sayuri Tsukahara, Akie Kobayashi, Akira Kawabe, Olivier Mathieu, Asuka Miura, Tetsuji Kakutani
(塚原小百合、小林啓恵、河辺昭、Olivier Mathieu、三浦明日香、角谷徹仁)
論文題目 Bursts of retrotransposition reproduced in Arabidopsis.
(Arabidopsis属における爆発的逆転移の再現)
発表誌 Nature 461, 423-6 (2009年)
要 旨

 高等植物のゲノムはレトロトランスポゾンとよばれる反復配列を含み、これが増減することによって、急速なゲノム進化が引き起こされると考えられています。今回、私達は、DNAメチル化の低下するシロイヌナズナの突然変異体で引き起こされた発生異常を遺伝解析することで、増殖能を持つシロイヌナズナのレトロトランスポゾンを同定しました(図)。また、ゲノム構造解析の手法を用いて、DNAの低メチル化に伴って増殖する多種類のレトロトランスポゾンを同定しました。それぞれのレトロトランスポゾンが、異なった様式で、系統特異的に増殖します。シロイヌナズナの突然変異体を用いることで、レトロトランスポゾンに仲介された急速なゲノム進化を分子レベルで調べる道が開けました。

図1
図1 右がDNA低メチル化突然変異体で誘発された発生異常。左は表現型を示さなかった個体。
研究室HP http://www.nig.ac.jp/labs/AgrGen/home-j.html