論文紹介

研究代表者 経塚淳子 所 属 東京大学農学生命科学研究科
著 者 Oikawa T, Kyozuka J 
(及川鉄男、経塚淳子)
論文題目 Two-step regulation of protein accumulation in the control of axillary meristem formation in rice. 
(イネ腋生メリステム形成を制御するLAX1タンパク質の局在は2段階の制御を受ける)
発表誌 Plant Cell (2009, in press)
要 旨  腋生メリステム形成は植物の形を決定する大きな要因である。イネLAX1遺伝子は腋生メリステム形成に必須である。腋生メリステム形成過程を観察したところ、葉形成ステージP4(4番目に新しい葉である段階)が腋生メリステム形成にとって決定的であった。LAX1遺伝子はP4ステージに発現を開始し、LAX1遺伝子のmRNAは葉と新たな腋生メリステム形成領域の境界部分の細胞列でだけ作られる。LAX1遺伝子が働かない変異体では、腋生メリステムを作るための細胞分裂が開始するもののすぐに停止してしまう。したがって、LAX1の作用は腋生メリステム部分での細胞増殖を維持させることである。しかしながら、この作用とLAX1のmRNAが腋生メリステムと葉の境界部分で作られることには微妙な「ずれ」がある。私たちは、この「ずれ」が、LAX1タンパク質の移動で説明できることを見出した。GFPを使った解析から、mRNAが存在する境界部分で作られたLAX1タンパク質が腋生メリステム形成領域に移動することを見つけた。LAX1タンパク質の移動はP4段階だけで観察され、方向性があり、さらに、LAX1が完全に機能するために不可欠であった。このように、LAX1遺伝子は、mRNAの局所的な生成とタンパク質の1方向性の移動という2段階の厳格な発現制御を受ける。
研究室HP http://papilio.ab.a.u-tokyo.ac.jp/cem/indexf1.html