• TOP
  • 論文紹介【第1回論文紹介】
  • シロイヌナズナのfugu 変異体における葉の発生過程の解析:有限成長性の器官における細胞伸長の制御に関する未知の3経路

論文紹介

研究代表者 塚谷裕一 所 属 東京大学大学院理学系研究科 基礎生物学研究所
著 者 Ali Ferjani, Gorou Horiguchi*, Satoshi Yano, and Hirokazu Tsukaya.
(フェルジャニ・アリ、堀口吾朗、矢野覚士、塚谷裕一)
論文題目 Analysis of Leaf Development in fugu Mutants of Arabidopsis Reveals Three Compensation Modes That Modulate Cell Expansion in Determinate Organs .
(シロイヌナズナのfugu 変異体における葉の発生過程の解析:有限成長性の器官における細胞伸長の制御に関する未知の3経路)
発表誌 Plant Physiology , Vol. 144, pp. 988-999June 2007
要 旨  葉の発生は、個々の細胞の振る舞いの単なる総和ではない。器官レベルで細胞分裂と細胞伸長のバランスがとられていることは、細胞数の減少によって異常な細胞肥大が引き起こされるという事実から強く示唆される。今回、このような奇妙な現象(補償作用)を示すシロイヌナズナ変異体を新たに5座位見いだし、erecta、angustifolia3変異体、KRP2過剰発現体とともに、その細胞分裂と細胞伸長の経時変化を解析した。その結果、補償作用は単なる細胞分裂と細胞伸長との間の非共役によるものでないことが、明確に示された。また、補償作用による異常な細胞体積増加は、細胞周期から完全に脱して初めて見られることが確認された。さらに同じ異常細胞肥大でも、変異体によって、細胞伸長の速度が高まるもの、伸張の時期そのものが長くなるものなど、さまざまなタイプに分かれることが分かった。加えて、補償作用による細胞肥大に、核内倍加の昂進が伴うものと伴わないものとがあることも確認された。補償作用という現象は、複数の異なる事象の総称と見るべきであろう。
図1図1 葉の柵状組織の平皮像。野生株(Wild type)に比べ、補償作用を示す変異体や形質転換体は、細胞数が減少している変わりに細胞の大きさが増大している。
研究室HP http://www.nibb.ac.jp/%7Ebioenv2/indexj.html
http://www.biol.s.u-tokyo.ac.jp/users/bionev2/top_j.html