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領域代表者の挨拶

本特定領域研究を始めるにあたって

 【領域代表】
 町田 泰則
 名古屋大学・大学院理学研究科
 ・教授
 私たちが提案してきた表記のような課題が、平成19年度発足の「特定領域研究」として採択され、スタートすることになりました。この「領域研究」では、植物の発生を二つの観点から研究します。一つは、茎頂や根端のメリステムからの器官発生という観点です。具体的には、葉、茎、根、花などの器官がメリステムから発生分化する仕組みを研究します。もう一つは、メリステムの性質が、植物の成長過程で変換(相転換)するという観点です。例えば、フロリゲンなどによる花成の仕組みを分子レベルで研究します。さらに、メリステム形成の仕組みそのものの研究も行います。
 このような研究が、何故「特定領域研究」にふさわしいかということですが、以下のような植物発生の研究における三つの進展をあげることができると思います。一つは、この数年の間にフロリゲンの遺伝子が、我が国の荒木と島本らにより発見され、この研究分野を我が国がリードするようになってきたことです。二つ目は、植物の発生に関わる新奇な分子、例えば、低分子ペプチドや低分子 RNA、さらに染色体制御因子などの多様な分子が、日本の研究者により見いだされてきたことです。さらに、三つ目は、植物の細胞分裂の研究においても、我が国の研究者は大きな貢献をしています。このような流れが、今回の特定領域研究発足の力となり、次の飛躍への期待が高まっています。以上のような背景を踏まえ、私たちは、植物の発生を支える新たな制御系、しかもより高次な制御系(統御系と呼びます)を解明したいと考えています。
 計画研究班には、上記のような先駆的な研究を進めている研究者が多数参加しています。さらに、来年度からは、志を同じくし、しかも、より高い目標を見すえ、ユニークな研究をめざしている多くの方々を公募研究班員として採用したいと思っています。また、本特定領域研究では、班員間の効果的な共同研究を推進し、高いレベルの成果を実現すること、若手の研究を積極的にサポートして、この分野の将来を切り開くことをめざします。総括班では、これらの点に気を遣いながら、「領域研究」全体を運営していきたいと思います。
 これから6年間、皆様とともに新発見による喜びを共有できるようになったことを、何よりも感謝致します。素晴らしい「特定領域研究」になることを祈ります。
(2007年8月22日)

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