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各研究内容

【研究項目A01:メリステムと器官発生の統御系】

▼研究項目 A02:メリステムの機能変換の統御系
班員名・所属 町田 泰則 [ 名古屋大学大学院理学研究科 教授 ]
研究課題名 茎頂メリステムにおける細胞分裂と葉の発生を支配する統御系
課題番号 19060003
研究目的
本研究計画の目的は、茎頂メリステムの周辺部から葉原基が発生し、葉の3次元構造(1. 基部-先端部軸構造、2. 向-背軸構造、3. 左右相称性構造)が生み出される分子機構を解明することである。すでに、我々は、上記した3つの軸形成にはシロイヌナズナの ASYMMETRIC LEAVES1(AS1)とAS2タンパク質が重要であること、これらのタンパク質が葉原基形成の初期から機能していること、葉の向軸側の細胞分裂に対しては抑制的に働いていること、AS1と AS2 は共に核タンパク質であり核小体に隣接している構造体(AS2 ボディー)に局在していること、低分子RNAの蓄積量を調節することを通して葉の向-背軸性を制御していること、クラス I ホメオボックス遺伝子やETTIN/ARF3 遺伝子などの転写を介して、葉の形作りに関わっていることを示してきた。本研究の具体的目的は、AS1とAS2を基軸として、葉の発生分化の分子的仕組みを、上記のような観点から研究し、メリステムからの情報が葉の形成をどのように制御しているかを解明することである。
主要論文
Nishihama, R., Soyano, T., Ishikawa, M., Araki, S., Tanaka, H., Asada, T., Irie, K., Ito, M., Terada, M., Banno, H., Yamazaki, Y., and Machida, Y. (2002). Expansion of the Cell Plate in Plant Cytokinesis Requires a Kinesin-Like Protein/MAPKKK Complex. Cell 109, 87-99.

Sasabe, M., Soyano, T., Takahashi, Y., Sonobe, S., Igarashi, H., Itoh, TJ., Hidaka, M., and Machida, Y. (2006). Phosphorylation of NtMAP65-1 by a MAP kinase down-regulates its activity of microtubule bundling and stimulates progression of cytokinesis of tobacco cells. Genes & Dev. 20, 1004-1014.

Ueno, Y., Ishikawa, T., Watanabe, K., Terakura, S., Iwakawa, H., Okada, K., Machida, C. and Machida, Y. (2007). Histone deacetylases and ASYMMETRIC LEAVES2 are involved in the establishment of polarity in leaves of Arabidopsis. Plant Cell 19, 445-457.
研究室URL http://www.bio.nagoya-u.ac.jp:8001/~yas/b2.html
班員名・所属 深城 英弘 [ 神戸大学大学院理学研究科 准教授 ]
研究課題名 根系構築の基礎となる根端メリステムの発生機構
課題番号 19060006
研究目的

高等植物の地下部を占める根系の構築にとって、側根形成の役割は重要である。これまで申請者は、側根形成の分子機構を解明する目的で、側根を欠失するシロイヌナズナslr (solitary-root)変異体(Aux/IAAリプレッサータンパク質IAA14の機能獲得変異体)や、側根形成能が顕著に低下するarf7 arf19二重変異体(オーキシン応答転写調節因子ARF7, ARF19の機能欠損変異体)を用いた研究を行った。その結果、側根形成開始には、これらの変異体の原因遺伝子産物ARF7, ARF19, SLR/IAA14を介したオーキシンによる遺伝子発現制御が重要であることが明らかとなった。さらに、申請者らの最近の研究から、LBD (Lateral Organ Boundary-domain)/ASL (AS2 domain-Like)ファミリーに属するLBD16/ASL18とLBD29/ASL16がARF7, ARF19の直接の標的遺伝子として側根形成で機能することが示された。そこで、本研究では、高等植物の根系構築の基礎となる根端メリステムの発生機構を明らかにすることを目的として、(1)ARFs, Aux/IAAs, オーキシン誘導性LBD/ASLタンパク質などを介した側根形成開始の分子カスケードを明らかにする、(2)側根形成開始や側根メリステム形成・維持に異常を示す新奇変異体を用いた発生遺伝学的解析を行い、オーキシンや新奇制御因子を介した側根メリステム形成・維持の分子機構を明らかにする。

主要論文
Fukaki, H., Taniguchi, N. and Tasaka, M. (2006) PICKLE is required for SOLITARY-ROOT/IAA14-mediated repression of ARF7 and ARF19 activity during Arabidopsis lateral root initiation. Plant J. 48, 380-389.

Okushima, Y., Fukaki, H., Onoda, M., Theologis, A. and Tasaka, M. (2007) ARF7 and ARF19 regulate lateral root formation via direct activation of LBD/ASL genes in Arabidopsis. Plant Cell 19,118-130.

Fukaki, H., Okushima, Y. and Tasaka, M. (2007) Auxin-mediated lateral root formation in higher plants. Int. Rev. Cytol. 256, 111-137.
研究室URL http://www.research.kobe-u.ac.jp/fsci-fukaki/fukaki/top.html
http://www.edu.kobe-u.ac.jp/fsci-biol/staff/h-fukaki.html
班員名・所属 杉山 宗隆 [ 東京大学大学院理学系研究科 准教授 ]
研究課題名 茎頂及び根端メリステム新生の共通基盤となる細胞増殖統御系
課題番号 19060001
研究目的
側根や不定根、不定芽の形成においては、予め定まってはいなかった場所で、秩序立った細胞増殖が始まり、メリステムが新たに形成される。またカルスからの器官再生では、既存の位置情報が失われた、あるいは大きく乱された中で、細胞増殖の秩序が回復し、メリステムが生じる。これらの事実は、メリステム新形成の基盤に、自律的な細胞増殖統御系が存在することを示唆している。本研究では、シロイヌナズナの器官再生に関わる温度感受性突然変異体の解析を通して、こうしたメリステム新生の基層をなす細胞増殖統御系の解明を目指す。重点的解析対象には、メリステム形成・維持と脱分化の両方が温度感受性を示すsrd2、rid1、細胞増殖全般に弱い温度感受性を示すと同時に制限温度下で帯化するrrd1、rrd2、rid4、メリステムの維持は概ね正常で新形成のみが強い温度感受性を示すrid3、rpd2を取り上げ、これらの責任遺伝子がどのように細胞増殖の統制に働き、メリステムの新形成を実現させているかを明らかにする。
主要論文
Ozawa, S., Yasutani, I., Fukuda, H., Komamine, A., and Sugiyama, M. (1998) Organogenic responses in tissue culture of srd mutants of Arabidopsis thaliana. Development 125, 135-142.

Konishi, M., and Sugiyama, M. (2003) Genetic analysis of adventitious root formation with a novel series of temperature-sensitive mutants of Arabidopsis thaliana. Development 130, 5637-5647.

Ohtani, M., and Sugiyama, M. (2005) Involvement of SRD2-mediated activation of snRNA transcription in the control of cell proliferation competence in Arabidopsis. Plant J. 43, 479-490.
研究室URL

http://www.bg.s.u-tokyo.ac.jp/koishikawa/research/sugi-lab/sugi-1.html

班員名・所属 柿本 辰男 [ 大阪大学大学院理学研究科 教授 ]
研究課題名 情報分子によるメリステム構築の制御系
課題番号 19060005
研究目的
茎頂メリステムと根端メリステムは、ニッチ細胞群、幹細胞群、分裂が早くて分化運命を持つ細胞を増殖させる細胞群などから成り、それぞれの細胞群は特有のゾーンに存在する。また、形成層も重要なメリステムであるが、その構成はあまり良く知られていない。本研究では、メリステムを構成する細胞間でどのような情報がやりとりされ、細胞種が決められていくのかを明らかにすることが目的である。例えばニッチ細胞は隣接細胞に幹細胞としての性質を与えるが、その実体として想像されるニッチ情報分子などの情報分子の同定にもチャレンジしたい。また、葉の表皮では、細胞が分裂するとともに、お互いに細胞間で情報をやり取りすることにより数種の細胞の配置が決められるが、この過程での細胞間シグナル伝達と細胞分化の決定機構を解明することも目的とする。
主要論文
Inoue, T, Higuchi, M, Hashimoito, Y, Seki, M, Kobayashi, M, Kato, T, Tabata, S, Shinozaki, K., and Kakimoto, T. (2001) Identification of CRE1 as a cytokinin receptor from Arabidopsis. Nature 409, 1060-1063.

Miyawaki, K., Tarkowski, P., Matsumoto-Kitano, M., Kato, T., Sato, S., Tarkowska, D., Tabata, S., Sandberg, G., and Kakimoto, T. (2006) Roles of Arabidopsis ATP/ADP isopentenyltransferases and tRNA isopentenyltransferases in cytokinin biosynthesis. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101, 8821-8826.

Hara, K., Kajita, R., Torii, K.U., Bergmann, D.C., and Kakimoto, T. (2007) The secretory peptide gene EPF1 enforces the stomatal one-cell-spacing rule. Genes Dev. 21, 1720-1725.
研究室URL http://www.bio.sci.osaka-u.ac.jp/dbs01/re-paper-temp.php?id=2
班員名・所属 田坂 昌生 [ 奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科 教授 ]
研究課題名 茎頂メリステム形成の統御系
課題番号 19060007
研究目的
双子葉植物の茎頂メリステムは胚発生過程で2枚の子葉の間に形成され、これが発芽後主茎とそれに派生する器官を構築する。一方、葉の根元に側芽メリステムができ枝になり、それが変形すると花となる。これらの、地上部メリステム形成のキー遺伝子CUCsを我々は明らかにしてきたが、形成制御の分子ネットワークの全体像はまだ明らかではない。本研究ではこれを明らかにするために次の3つの研究を行う。1)CUCsの直接の下流を含めて下流で機能する遺伝子群を同定して機能を解析する。2)CUCsの発現を制御するオーキシンの極性を持った分布の構築機構とそれを支える細胞内極性輸送の分子メカニズムの実態を明らかにする。3)新奇変異株uni1-Dを用いてサイトカイニンが茎頂メリステム構築で果たす役割を分子レベルで解明する。
主要論文
Hibara K., Takada, S., and Tasaka M. (2003) CUC1 gene activates the expression of SAM-related genes to induce adventitious shoot formation. Plant J. 36, 687-696.

Hibara, K., Karim, RM., Takada, S., Taoka, K., Furutani, M. Aida, M., and Tasaka ,M. (2006) Arabidopsis CUP-SHAPED COTYLEDON3 regulates postembryonic shoot meristem and organ boundary formation. Plant Cell 18, 2946-2957.

Furutani, M., Kajiwara, T., Kato, T., Treml S. B., Stockum, C., Torres-Ruiz, A.R., and Tasaka, M. (2007) The gene MACCHI-BOU I/ENHANCER OF PINOID encodes a NPH3-like protein and reveals similarities between organogenesis and phototropism at the molecular level. Development (in press)
研究室URL http://bsw3.naist.jp/keihatsu/keihatsu.html
班員名・所属 岡田 清孝 [ 自然科学研究機構基礎生物学研究所 所長 ]
研究課題名 葉の発生における領域決定機構
課題番号 19060004
研究目的
葉はメリステムの周辺領域の中の空間的に定まった位置に形成されるが、その場所がどのようにして決定されるのか、葉原基にリクルートされた細胞に分裂と分化を促すシグナリングシステムは何か、という基本的な問題に、遺伝学・生化学・細胞生物学に加えて、ゲノム解析とモデル化などの手法を用いてアプローチすることを目的とする。具体的には、(1) 葉および花器官の原基の形成と領域化に異常を示す突然変異体からクローニングした変異遺伝子の機能と発現を解析する。(2) microRNA165/166の作用が表側領域特異的な発現に重要であることがわかったので、このmicroRNAの形成と輸送経路について解析を進める。
主要論文
Matsumoto, N., and Okada, K. (2001) A homeobox gene, PRESSED FLOWER, regulates lateral axis-dependent development of Arabidopsis flowers. Genes Dev. 15, 3355-3364.

Watanabe, K., and Okada, K. (2003) Two discrete cis elements control the abaxial side-specific expression of the FILAMENTOUS FLOWER gene in Arabidopsis. Plant Cell 15, 2592-2603.

Takeda, S., Matsumoto, N., and Okada, K. (2004) RABBIT EARS encoding a SUPERMAN-like zinc finger protein regulates petal and ovule development in Arabidopsis thaliana. Development 131, 425-434.
研究室URL http://www.nibb.ac.jp/sections/okada-k.html
班員名・所属 塚谷 裕一 [ 東京大学大学院理学系研究科 教授 ]
研究課題名 葉の後期器官発生を司る統御系
課題番号 19060002
研究目的
葉の初期原基は、茎頂メリステムを遙かにしのぐ活発な細胞増殖をおこなっている。これは、やがて先端部から基部に向けて発せられる、あるいは移動すると想定されている未知の前線、「arrest front」によって抑えられ、やがて停止すると共に、個々の細胞が分化・伸長に向かうと考えられている。これは私たち自身による解析等からも強く支持される魅力的なアイデアであるが、そのarrest frontの正体は、現在もって全く不明のままである。そこで本研究では未開拓のテーマとして、 (1) arrest frontによって、細胞の分裂と伸長がどのような制御を受けるのか。(2) arrest frontという仮想“前線”の実体は何か(3) arrest front作用前の、葉原基における高い細胞分裂活性は何によるのか。(4) arrest frontを境として空間的に切り分けられる細胞分裂領域と細胞伸長領域とは、互いに独立なのかの諸点を解明し、葉という器官の後期発生を、一体としてまとまりのあるものに統合するシステムの理解を実現する。
主要論文
Horiguchi, G., Kim, G.-T., and Tsukaya, H. (2005) The transcription factor AtGRF5 and the transcription coactivator AN3 regulate cell proliferation in leaf primordia of Arabidopsis thaliana. Plant J. 43, 68-78.

Tsukaya H. (2006). Mechanism of leaf shape determination. Ann. Rev. Plant Biol. 57, 477-496.

Ferjani, A., Horiguchi, G., and Tsukaya, H. (2007) Analysis of leaf development in fugu mutants of Arabidopsis thaliana reveals three compensation modes that modulate cell expansion in determinate organs. Plant Physiol. 144, 988-999.
研究室URL http://www.nibb.ac.jp/%7Ebioenv2/indexj.html
http://www.biol.s.u-tokyo.ac.jp/users/bionev2/top_j.html
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