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子育て単身赴任教員ネットワークのメンバーの生活の様子を紹介しています。
 

子育てコラム:  子連れ海外出張体験記 [Part 3]

 

  2015年1月 多元数理科学研究科 
     伊藤 由佳理

 
  3.日本に帰国
 
     その3月末に帰国し、夫は京都へ、私と生後3ヶ月の娘は東京に戻りました。私は4月から育児休暇を取ることもなく、東京都立大学に職場復帰しました。夜間部の講義もありましたが、幸い私は両親と同居していたので、あまり時間を気にすることなく仕事ができました。ただし、娘を保育園に預けていなかったので、母にはとてもお世話になりました。娘をおいて出張に行くことはなかなかできませんでしたが、夫と共に娘を連れて海外出張はしました。出張先でベビーシッターを頼んだり、夫婦で交代しながら娘と遠いところから講演を聞いたりしました。私が講演する際、2階席で夫といた娘が「お母さん!」と声援を送ってくれる場面もありました。その後、私が京都大学に短期間の研究員として京都に住んだ際に、娘は京都の保育園に通い始めました。また、カリフォルニア大学バークレー校に出張した際は、ベビーシッターの求人ができるメーリングリストがあり、そこで日本人のベビーシッターや1ヶ月だけの保育園を見つけることができて、とても便利でした。このシステムは現在もあるようです。
 
4.娘と海外主張へ
 
     上記のような海外出張は、1〜2週間程度の短期のものでしたが、イギリス・ケンブリッジのニュートン研究所で代数幾何学のスペシャルイヤーが開催されることになり、とても興味があったので、私は娘を連れて行くことにしました。かつてドイツで3歳児を連れた女性研究者を見ていたので、私もやってみようと思ったのです。ちょうど私の娘も3歳になり、保育園での生活もできるようになっていたからです。ケンブリッジの保育園も待機児童が多く、かなり前から申し込みをしていましたが、週2日、3日と2つの保育園に通うことになりました。イギリスに滞在したのは4月から8月の4ヶ月ほどでしたが、同じ時期に夫はノルウェーに長期出張をしていて、1ヶ月に1回くらい会っていました。イギリスでの生活は確かに日本と変わらず、保育園のある時間は自分のことができました。病気した時は、夫婦で来ていた後輩の奥様がセミナーの間だけ見てくれたこともありました。スペシャルイヤーだったので、他にも日本人の研究者が多く、大学院の後輩が数名、同じアパートに住んでいたので、娘も私一人と向き合っているだけでなく、いろんな人たちが相手をしてくれたので、とても楽しかったようです。保育園では、先生の言葉は理解していたようですが、あまり自分から話さなかったようです。絵を描くときがいちばん自己表現できたのか、毎日いろんな絵を家に持って帰ってきました。家の壁に娘の絵を貼って展覧会のようにしていたら、我が家に遊びに来た後輩たちが褒めてくれたので、ますます絵を描くのが好きになったようです。思い存分研究に没頭できたとは言えませんが、日本とは異なる風景や文化を娘と一緒に楽しめました。娘は保育園でナイフとフォークの使い方などのマナーもしっかり教育されていましたし、イギリスの大人と子どもの世界をきっちり分ける文化は、なんでも子連れで楽しめるようになりつつあった日本とは違って面白かったです。
 
 
  [Part 4] へ続く