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子育て単身赴任教員ネットワークのメンバーの生活の様子を紹介しています。
 

子育てコラム:  子連れ海外出張体験記 [Part 2]

 

  2015年1月 多元数理科学研究科 
     伊藤 由佳理

 
   2.アメリカで出産
 
      その後8月末に帰国しましたが、日本にいたのはたった1ヶ月だけで、その間に行った産婦人科が超音波検査の画面も見せてくれないような閉鎖的な環境で、衝撃を受けました。翌9月からはアメリカへの長期出張でした。もともと7ヶ月の予定でしたが、途中の3ヶ月ほどは産休になりました。行き先はプリンストンにある高等研究所で、研究員として敷地内のアパートに住んでいました。毎年研究所のメンバーは入れ替わりますが、様々な国の人たちが家族で来ているところなので、滞在中に出産をする人も多く、出産に関する情報も豊富でした。ただし、研究者の家族ではなく、研究者自身が滞在中に出産した例は珍しいかもしれません。いずれにしても、夫と一緒に出産を迎えることができました。アメリカの出産は夫同伴が当たり前で、へその緒を切るのは父親の仕事です。出産前も母親学級ではなく両親学級が何回もあり、妊婦の腰痛を軽減するマッサージを夫たちが習うこともありました。12月、それまで毎週続いていたセミナーが終わった翌日に娘は生まれてきました。診察時は中国人の男性医師でしたが、出産の際はその日の担当だったインド人の女性医師でした。彼女自身は出産1ヶ月後に現場に復帰したバリバリ働くお母さん医師でした。アメリカでは出産翌日に退院するので、出産後1ヵ月は夫が家事をするように!とアメリカで出産した友人たちが夫を指導してくださったおかげで、退院後も赤ちゃんとの生活をゆっくり送れそうでした。しかし2週間後に夫だけインフルエンザにかかって寝込むなど、なかなか予定通りには行きませんでした。出産後1ヶ月目の1月は真冬でしたが、ロシア人たちが夕方になると赤ちゃんをベビーカーに乗せて散歩していました。真冬のモスクワでも、赤ちゃんを毛布にくるんで毎日ベランダに出すそうで、寒さに強くなるというので、私たちもマネをして真冬のお散歩をしていました。実際、高校生になっても娘はとても薄着なので効果があったのかもしれません。
 
      また私は産後1ヶ月で研究所に通い始めました。娘を同伴していたので、最初はお茶の時間にいろんな人と話すくらいでした。ときどきは眠っている娘とセミナーに出席したりもしましたが、やはり出産前とは全く異なる生活になってしまいました。ただし週末は産前産後でスタイルを変えて楽しみました。プリンストンはニューヨークから1時間の距離なので、出産前はコンサートに行き、出産後は美術館に行きました。また、ニューヨークのバリアフリーは進んでいたので、車椅子と同じようにベビーカーも街中を楽に移動でき、エンパイヤーステートビルの最上階にもベビーカーで行けました。また、ほとんどの公共施設のトイレには男女ともにおむつの交換台があり重宝しました。
 
 
  [Part 3] へ続く